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いにしえの呼吸法とリラクセーション|女性用性感マッサージsofre女性向け風俗

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昨年(2020 年)の春,Applied Psychophysiology & Biofeedback 誌の編集長を務める Paul Lehrer博士より日本のバイオフィードバック(BF)研究の特徴を紹介してほしいと依頼があった.“世界の読者に届けること”が主な趣旨だが,一方で“禅”が日本の BF 研究にどのように影響しているかといったことにも関心があるようであった.日本の BF 学会・研究の特徴については International Congress of Psychology 2016(横浜)にてシンポジウムを開催した経験があったことから,さっそく当時のスピーカーである及川欧先生(国際交流委員長),廣田昭久先生,浦谷裕樹先生と論文の構成について検討した.

筆者はまずこれまでの BF 学会誌から特徴をまとめる作業に入った.すべての研究を調べることはできなかったが,ここ 10~15 年ほどの BF 研究を眺めると,(恣意的かもしれないが)「呼吸(法)」と「リラクセーション」というキーワードが浮かび上がってきた.“医学・工学・心理学の連携”という日本 BF 学会の特色からみても,医学ではバイオフィードバックの臨床応用にリラクセーションが活用されているし,工学ではリラクセーション支援のための機器開発もしくはセンシング技術の開発がいくつも行われている.心理学においては呼吸(法)またはリラクセーション法に関する心理生理学的な検討が特徴的である. 一方で,日本における呼吸法とリラクセーションのルーツを訪ねたいと思い,白隠慧鶴(1685~1768)の『夜船閑話』を開いてみた.白隠は臨済禅中興の祖と呼ばれ,多くの書画を残した著名な僧である.書のタイトルは“夜船で退屈しのぎにする会話”の意だが実際は白隠禅師の壮絶な体験記であった.エネルギッシュに禅に邁進するあまり,彼は 30 歳前後で禅病(結核,胸膜炎,もしくは神経衰弱)を患うようになる.必死に漢方薬や鍼伮を試したがまったく効果がなく,あるとき,人づてに聞いた京都白河の山中に住むという白幽なる人物を訪ねる.そこで伝授されたのが「内観の法」と「軟酥の法」であった.前者は仰臥位にて下肢を伸張させるように力を込め,丹田(臍下にあって“気”が満ちるとされる部位)に意識を集中させる方法である.一方,後者は軟酥(良い香りのするバターのようなもの)を頭の上に載せたと想像し,それが徐々に溶け出して体の隅々にまでゆっくり浸透していく様をイメージする方法である.

また,「夜船閑話」には“呼吸をゆっくりと長くする”旨の記述が随所にみられる(例えば,「真人は踵で息をするが普通の者は喉で息をする」,「気が下腹部に集まれば,その息は長く深くなる」)(「夜船閑話」芳澤勝弘訳注,000).これらが丹田への意識集中と合わさって丹田呼吸法のかたちを作っていったのかもしれない.一方,軟酥の法は体の隅々に意識を拡げていく自己催眠的な方法であり,今日のリラクセーション法にみられる“身体への注意”に通じるものがある.「内観の法」,「軟酥の法」の教えを受けた白隠はその後一転して元気を取り戻し,再び精力的に活動するようになる.また,これらの方法によって禅病に悩む多くの修行僧を救ったという.

白隠は内観法の効果について気迫のこもった記述を残している.“このように繰り返し観想していくならば,一身の元気はいつしか腰脚足心に充足して,臍の下が瓢箪のようにふくらみ,皮で作った硬い蹴鞠のようになる.このような観想を一週間ないし三週間続けるならば,それまでの五臓六腑の気の滞りや,心気の衰えのための冷や汗,疲れといった症状はすっかり治るであろう.もし治らなければ,老僧(わし)の首をやってもよろしい”(芳澤,2000).彼が伝える呼吸法やリラクセーションのエッセンスは,現代の日本の BF に少なからず影響を与えている.

「コロナ禍におけるバイオフィードバック」

新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)の世界的流行によって私たちの日常生活は劇的に変化し,バイオフィードバックに関わる臨床や研究についてもこれまでのやり方で続けていくことは困難な状況にある.一般的に,マスクを着用すること,手指の清潔を保つこと,「三密」を避けることなどの対策は必須のことであるが,生理指標の測定を伴うバイオフィードバックにはさらなる注意や工夫が必要になってくる.これまで生理指標の測定に関わるいくつかの学会がCOVID‒19 に関する指針を発表しているが,この機会にバイオフィードバックについてもさまざまな現場の事情に即した取り組みのあり方を確認しておくことは意義深いように思われる.そこで,今回は「コロナ禍におけるバイオフィードバック」と題した特集を企画し,医療,リハビリテーションなどの現場における対応,あるいはITを利用したバイオフィードバックの可能性などに関する記事を中心に構成した.これらの取り組みから,遠隔によるバイオフィードバックの可能性,バイオフィードバック技術の利用普及と倫理的な側面,リハビリテーションにおけるさまざまな工夫,バイオフィードバックの臨床応用と研究開発の有用性などが浮かび上がってくる.ウィズコロナの時代において日本バイオフィードバック学会が果たすべき役割の大きいことを伝えている.

診療状況と教育について

コロナウイルスは社会全体に大きな変化をもたらせた.就労環境では在宅勤務が増え,教育面ではリモート授業が主
流になっている.バイオフィードバック療法はコロナウイルス感染症の中では,密室での治療をおこなうことから診療
を中断した.社会がコロナウイルス感染症を機に適応的に変化していったように,バイオフィードバック療法も変化を
迫られているように感じている.それには,学会を挙げたガイドラインづくりなどの取り組みが必要である.

1.はじめに

つい最近まで,何事もなかった日常が COVID‒19 の猛威により,一変してしまった.感染対策はもちろんのこと,経済対策,雇用対策,教育対策など日本に限らず,全世界的な緊急課題となっている.1900年初頭にスペイン風邪が世界的大流行して以来,私の知っている限り,これほどの自然災害を経験したことはなかったが,こんなにも世の中は簡単に変わるのかと驚きが大きい.今回の企画は日本バイオフィードバック学会の編集委員会の緊急の企画であり,COVID‒19 状況下でバイオフィードバックの現場はどのようになっているかを都内大学付属病院の勤務医が率直にお伝えしたい.コロナウイルス感染症の心理・社会的な側面への影響の数字的なものは現在多くの機関が調査中であり,明確なものはわからない.今回の内容は,実際の患者などの情報をもとにしていることをお伝えしておく.

2.COVID︲19 による社会の変化とストレス

2.1 外出の減少
政府や都道府県からの要望で,不要不急の用事がなければ,外出を長期間控えるようになった.さらに外出する際には必ず人との距離を保ち,マスクをしっかり着用することも義務づけられた.
一方,イベントは軒並み中止または延期になった.仮に実施できたとしても人数制限など厳格な感染対策を要するものとなった.
このような社会状況の変化により,自宅に長期間にわたり待機している個人は,心理的・社会的なストレスを抱えるようになった.また,家庭内での人間関係にも影響があり,ある一定の距離を持っていた家族(意識的ではなかったにせよ,その時間的・空間的な距離を保つことで家族が安定していた面もあった)が,家族の関係性が変化し,新たな家庭内のストレスが生じたところも大きい.心療内科を初診したある女性患者は,「今まで平日は居なかった両親が昼間に自宅でテレワークをしている.どのように距離をとっていいのかわからない」と述べている.

2.2 労働環境の変化

コロナ禍がもたらした社会変化は国内外あらゆる場所にみられる.影響を受けなかったところはまったくないはずである.就労の面では,テレワークの普及が最大の変化であろう.緊急事態宣言下では,多くの企業がテレワークを実施し,出社しての勤務率は 6 割以下に下がった.当初の予想に反して,少なくとも日本では,テレワークを受け入れている人が多かったように感じる.通勤せず,自宅に居ながらの勤務ということで,通勤の時間が有効に使えるというメリット,他人の目を気にせず,自分の裁量権のなかで自由に仕事を行えるということをメリットと感じているという人が多い.一方,テレワークでの会議の際には,オンラインでの会議が多く行われるようになり,インターネットを介した交流という新たなストレスも生じた.心療内科の患者の声として「テレワークになって,ずいぶん時間的な余裕はできた.ただ,これまではちょっとした相談を周囲の人にできていたが,今はなかなかできない.テレワークだと簡単な質問をするチャンスを作りにくい」という.現在は,いわゆる「飲み会」は実施できない状況である.これまでと人間関係の構築の仕方が大きく変わろうとしているのは間違いないが,企業側も社会の変化についていくのが精一杯であり,社員のサポート体制作りは大きな課題となっている.

2.3 教育の変化

2020 年 4 月からの授業を開始できず,多くの学校で,開始を遅らせざるを得ない状況であった.再開後も対面式の授業よりもリモート授業を採用したところがほとんどであった.小学校,中学,高校,大学とそれぞれ,新入生がいたが,一度も学校に来ることができず,リモート授業が先に始まったところも多かった.一方では,伝統的な対面式の授業からリモート授業やハイブリッド型授業(対面式とリモート授業の併用)が展開されたことが,教育方略の改革をもたらしたことも事実である.インターネットを使って,授業の前に課題を出し,学生がレポートを提出する形式や事前に小テストを配布する流れは著しく加速された.また,今回のコロナウイルス感染症の長期にわたるリモート授業の結果,学生たちの IT環境への適応性は明らかに向上している.

リモート授業開始の当初は,学生の学力低下が懸念された.それは,従来の対面式の授業が一番授業として正しく効果が高いという考えに基づくものであった.しかし,現在のところ成績低下はほとんど認められない.また,学生へのアンケートをみると,コロナウイルス感染症が収束しても,リモート授業またはハイブリッド型授業を続けてほしいという声が多い.教育の変化はゆっくりしか進まないことが多い中で,この 1 年の変化は驚異的である.

2.4 偏見によるストレス

COVID‒19 によるストレスで当初の予想以上に感じたのが,差別・偏見等によるストレスである.日本赤十字はコロナウイルス感染症による弊害を 3 つの感染症としてまとめ(表 1),第三の感染症として,差別・偏見が取り上げられている.熱のある人に対して過剰な反応を示すことや,感染した人さらにはその家族への誹謗中傷があった.

3.COVID︲19 と医療への影響

3.1 通常診療の患者の変化

緊急事態宣言が発令される前から,大学病院では,コロナ対策会議が連日開かれた.病床をいかに確保するかとともに医師,看護師などの人員をいかに確保するかが重要であった.心療内科は内科に属するため,病院からの要請により,病棟担当や発熱外来での診療を行った.

こうした状況から外来の患者はどうしても減らさざるを得なくなり,病院内の密を避けるために予約数の制限,初診患者の制限などが実施された.

コロナウイルス感染症時には,社会全体への不安が高まり,表 2 に示すような精神疾患が増加することが知られている.心療内科の患者はもともと不安に陥りやすい方が多いため,外来制限の影響を心配した.しかし,救急受診などが増えたわけではなく,患者の大きな不安が感じられなかった.むしろ一般診療科の方では,身体的な基礎疾患を持っていることで,病院に来ることに大きな不安を感じている様子であった.

3.2 バイオフィードバックの状況

東邦大学大森病院心療内科では,リラクセーション外来を設け,バイオフィードバック療法を完全予約制でおこなっている.診療時間は 30~40 分程度要し,部屋を暗くするため,密閉,閉鎖空間になり,医療者と患者との物理的な距離を保つことは困難であった.そのため,COVID‒19 の影響を通常の外来診療よりも強く受け,2020 年 4 月以降には実質的に閉鎖した状況となった.バ
イオフィードバック療法は手術などとも違い,待機的におこなうことができるため,患者からの診療要望もなかった.むしろ,バイオフィードバック療法を行う環境面に患者側の不安も大きかったのではないかと考える.

3.3 医学部生への教育

東邦大学心療内科では,医学部の 4 年生に対して,バイオフィードバック療法を 60 分レクチャーの時間で実践している.毎週,3~4 名の学生がローテーションで回り,学生に対して,実際に測定器具を装着し,患者に対する診療を模擬体験させている.コロナ禍ということで,実習をおこなうべきか悩んだが,学生からの実施への希望もあり,感染対策を十分に行ったうえで,一年間実施することができた.

4.今後のバイオフィードバック療法に向けて

4.1 感染対策

今後,リラクセーション外来を再開する予定であるが,バイオフィードバック療法をどのように実施するか,具体的なマニュアルは必要であろう.
・手指消毒
・マスクの着用
・測定器具装着時の手袋着用
・測定時間の 1 m 以上の距離確保
・受診 3 日間前からの体温測定と症状記録表の提示
・当日の院内での体温測定
・従来よりも広い空間での実施と空調環境の管理
などが挙げられる.
また,ウエアラブルの器機が進歩している現代において,在宅で測定可能なパラメーターが多くある.そういう新世代の機器を用いた,在宅バイオフィードバック療法への普及が望まれる.または,ハイブリッド型のバイオフィードバック療法で,在宅と 3 回程度の受診をおこなうことも現実的であろう.ここでの問題は,ウエアラブルツールの妥当性と値段であり,在宅診療を行った際のコストの面である.在宅でのバイオフィードバック療法は保険収載されておらず,現在は自費診療にするしか方法がないかもしれない.

5.おわりに

COVID‒19 が社会に与えた影響は計り知れない.しかし,そのことが変化のチャンスにもなっている.バイオフィードバック療法もよい方向に変わる機会とするべきであろう.

AI,ICT,VR を活用する未来に向けて

新型コロナウイルス感染症の世界的流行の中で,バイオフィードバックが予防や診断・治療に寄与できる点は多くあ
る.本稿では特に,人工知能 Artificial Intelligence(AI),情報通信技術 Information and Communication Technology(ICT),人工または仮想現実 Virtual Reality(VR)などの最新テクノロジーを活用してのバイオフィードバックのあり方について,論考をした.コロナ禍で AI や ICT が役立つ点としては,早期診断,個人の行動追跡,多発地域の迅速な発見や予測,新薬やワクチン開発,治療経過のモニター,医療者の負担軽減,予防に向けた早期の体制作りなどが挙げられる.そのいずれにおいても BF は寄与し得る.本稿では,BF 活用による医療負担の軽減,BF による感染予防,BF による遠隔診療,BF による在宅ストレスの軽減,BF 情報の AI や ICT ツールへの提供の 5 点に絞って,BF の可能性をまとめた.一例を挙げると,巣ごもり傾向が高まる中,外出恐怖や登校・出勤困難などのメンタルヘルス問題を抱えている方が,在宅しながら VR による社会訓練を実施し,医療機関とは遠隔診療で治療を進める方法がある.医療や保健活動への BF 適用においては,データの取得,研究開発,利用普及の各段階において,技術的・倫理的な注意を十分に払う必要があり,本学会の果たす役割は大きいと考えている.

1.はじめに

新型コロナウイルス感染症の世界的流行により,われわれの日常生活は劇的に変化した.バイオフィードバック(Biofeedback:BF)の実践においても,対面の場合はマスクを着用し,手指清潔を保った上で測定をするなど,感染予防の対策はこれまで以上に求められるようになった.

本特集では,コロナ禍における BF の取り組みについて,臨床・研究の現場での意見を集約し,日本 BF 学会として共有することを目的としている.特に本稿においては,著者が広報企画委員会を担当しているので,人工知能(Artificial Intelligence:AI),情報通信技術(Information and Communication Technology:ICT),人工または仮想現実(Virtual Reality:VR)などの最新テクノロジーを活用する BF のアイデアについてまとめる.現在延期となっている第 48 回日本 BF 学会学術総会において,広報企画委員会企画として「オンライン・バイオフィードバックの可能性」についてシンポジウムを開く予定であったので,その導入の意味も込めて論考をする.

2.医療機関での取り組み:診療しながら気づいたこと

筆者は,新しく医学部が新設された国際医療福祉大学で心療内科医として働いている.2020 年 4 月に大学附属病院の成田病院が開院した.大学病院が完成する前までは,赤坂にある山王病院という大学関連の病院に勤務していたが,異動前後で今回のコロナ禍となった.成田空港の近くという立地もあり,千葉県や成田市の要請を受けて,成田病院は開院前から,新型コロナ患者を受け入れる病床を稼働させることになった.そこで各系列病院に所属していた医療スタッフは,4 月 1 日の辞令を待たずして成田病院で働くことになった.系列病院は新型コロナ対策の負荷が新たにかかる中で通常診療をしていたので,人員削減はより困難な状況となった.筆者の場合,3 月末で山王病院の外来を閉じる準備をしていたのだが,閉鎖 1 週間前に外来継続が急遽決まった.既に紹介状を書いて転院手続きをしていた患者が大半であったので,現場はかなり混乱をした.有無もなく,成田病院と山王病院を兼務することになった.

そこから,東京と成田の双方に居を構えて週 3 回往復する二重生活が始まった.医療従事者なので,感染予防には人一倍留意しなければならず,通勤は自家用車を利用している.また外食を避け,通勤途中のコンビニエンス・ストアかスーパー・マーケットで買い出しをして,病院に隣接する宿舎で食事をしている.やむをえず,通勤に電車を使わないといけないこともあるが,当初は京成スカイライナーの車両に筆者 1 人しか乗っていない時が多く,まさに貸し切り状態であった.

そうした筆者の生活状況を踏まえて,今後の BF の課題について気づいた点を列記する(表 1).まずは,成田病院での診療活動である.医師の確保もそうであったが,何と言っても看護師の人数が絶対的に不足していた.1 ベット当たりの看護師の配置人数は厳密な決まりがあるため,病床やベットが余っていたとしても,病棟を全部稼働させることができなかったのである.本誌に以前掲載した総説論文[1]では,BF の未来像として,BF を生活空間へ活用して個人‒環境インターフェイスのツールにしたり,BF 機器を生活補助ツールとして活用して生活機能の介助とすることを挙げた.BF 利用の生活化が進めば,患者が入院治療をせずに外来治療を継続することや,リハビリテーション向上へとつながるケースも増えるであろう.また入院中であっても,BFをモニター活用することで,看護師や他の医療スタッフの見守り負担は減るであろう.もちろん病状によるので一律な議論はできないが,最新テクノロジーの活用で看護師の配置人数の減少は可能である.病院以外でも,こうしたBF 利用の生活化が浸透することで,患者や家族ならびに医療従事者の利便性が増し,疾病予防や医療の適正利用が進むことも期待できる.日本は超高齢化を迎え,医療費による国民の負担は増える一方である.BF は医療費削減の切り札になるポテンシャルをもったツールであることは間違いなく,今後どう有効活用していくかは,われわれのアイデア次第である.

第 2 に,感染予防としての BF である.成田病院では現在 BF 治療はしていないが,心拍変動をモニターした自律神経機能検査[2]はルーチンで行っている.患者は両側第 2 手指を機器の挿入口に入れ,手掌を測定金属板に密着させなくてはいけないため,手指の消毒を徹底してもらっている.一包ずつアルミパックをしたアルコール殺菌・消毒液綿を使っているが,患者自ら開封して手指を拭いてもらい,医師がその様子を確認してから,測定をする.その中で,どこまで皮膚消毒ができているのか,BF による「見える化」ができれば,客観的な予防活動につながるであろう.前述した病院近辺のスーパー・マーケットでも,例えば会計レジで接客している従業員の感染への不安や恐怖は切実で,成田病院の心療内科外来では,何人もの方がコロナ不安のため受診をしてい る.就労困難となり,休職の診断書発行をした方もいる.

そうした場合,実際の付着菌量もしくは代替マーカー,それも難しければ付着飛沫量などを簡便に測定し「見える化」する機器が普及すれば,そうしたコロナ不安の軽減につながるかもしれない.またそうした測定情報が位置情報などと一緒にビッグデータとして共有できれば,筆者も利用していた電車通勤や,筆者は利用する機会も余裕もない Go To トラベルなどの移動制限をどうすべきか,行政判断の指標になるであろう.

第 3 に,BF の遠隔診療への応用が挙げられる.2018年の診療報酬改定により,対面診療を組み合わせる必要はあるものの,オンライン診療が在宅医療や外来診療で認可された[3].今回のコロナ禍では,臨時特例的な措置ではあるが,「電話や情報通信機器による初診」が認められ,対面なしで初診患者に診療や処方箋発行することが可能になった.成田病院でも早速オンライン診療が開始された.筆者の場合は,山王病院において,コロナ不安で外来受診できない再診患者のために,電話による相談や処方箋発行などをしている.また,成田病院では,軽症の新型コロナ感染患者は病棟への入院でなく,借り上げた成田空港近辺のホテルで隔離・療養をしている.そのホテルでの診療も重要な業務となっており,診療科に関係なく医師派遣が続けられている.筆者もホテルでの診療を行っているが,急変がない限り,患者と対面することはなく,ホテルの内線電話で健康確認をしている.体温や酸素飽和度などのバイタルサインは,自己測定による電話申告となっていた.こういう時に BF によるリアルタイムで継続的なモニターができれば,患者・医療者双方のミス防止や安心につながるであろう.

第 4 に,BF は在宅ストレスの軽減にもつながる.前述の総説論文[1]でも言及したように,今後の AI 普及により,顔表情認識,眼の状態,発声状況,皮膚からの微細な信号などあらゆる生体情報を瞬時にビッグデータ解析し,不安感や抑うつ気分など精神症状を,本人よりも正確に評価し,専門医よりも正確に診断できる時代が近未来には訪れると予想している.精神症状は BF マーカーの例外でなく,むしろ有益なマーカーになるであろう.現在でも脳波測定やニューロフィードバックを活用したリラクセーション練習は BF の重要な技法であるが,さらなるテクノロジー進展が期待できる.ICT 関連では,筆者らは認知行動療法的アプローチによる「ココロの元気が出るアプリ」開発をてがけ,2015 年 9 月には東京ゲームショーで展示をし,2016 年 6 月からゲーム感覚でこころの健康をサポートするトレーニングアプリケーションを 1 年間限定で無料配信した.こうしたツールは在宅での孤立を避け,在宅ストレスの軽減につながるであろう[4].外出恐怖や登校・出勤困難などのメンタルヘルス問題を抱えている方が,在宅しながら VR に よる社会訓練を実施し,医療機関とは遠隔診療で治療を進める方法もある.他には,在室での運動を促す健康アプリを活用する際には,血圧や心拍数をモニターするBF を合わせて装備することで,より安全な運動が可能となる.可能性は無限大である.

最後に,前述した BF 情報の AI や ICT ツールへの提供は,経時的な健康状態の把握に役立つ.自分の健康情報をパソコンやスマートフォンで自動保存し,いつでも閲覧できるアプリケーションがどんどん実用化されるであろう.さまざまな健康情報を分かりやすく一覧にし,各個人にフィードバックをすることで,心身の状態の維持・改善に活用できる.さらに,そうした情報は AI を活用してビッグデータとして解析できるので,個人情報の保護やプライバシーに十分配慮した上ではあるが,地域・集団特性の分析や,災害時の健康支援の緊急性の把握などにも役立つであろう.

おわりに:コロナ禍における AI や ICT 活用のエビデンスと留意点

2020 年になって新型コロナ感染症対策に AI や ICT が有効であることを示す研究報告は幾つも発表されているが[5‒8],その主な内容を表 2 にまとめた.いずれの活用方法においても,BF は寄与し得るのであるが,医療AI の過信は禁物である.データの取得,研究開発,利用普及の各段階において,技術的・倫理的な注意を十分に払う必要がある[9].例えば,悪い例ではあるが,心電図の読影は今や自動的に結果判定が出力されるため,異常なしの判定結果が出ると,つい気を緩めがちになる.そこで医療者は安心せず,患者に自覚症状がなかったか改めて思い起こし,目視できちんと 1 つ 1 つの心電図波形を確認する習慣を失ってはならない.テクノロジーの進化に実践者が置き去りにならないよう,日本バイオフィードバック学会においても,教育研修や人材養成にこれまで以上に力を入れていく必要がある.

リハビリテーション領域における現状

COVID‒19 の世界的な感染拡大は,リハビリテーション領域においても重大な問題となった.そもそもリハビリテー
ション領域の理学療法や作業療法は,徒手的治療あるいは日常生活動作指導において,セラピストと患者との濃厚接触
が基本となる治療的介入であり,それを否定する接触感染対策は受け入れがたいのが現状である.コロナ禍におけるリ
ハビリテーションの課題は,濃厚接触業務,3 密回避困難,そして社会活動制限の 3 点である.これらの課題に対する
BF の応用として,筋電図 BF と心拍変動 BF を紹介した.今後は,国内においても接触感染対策としての遠隔リハビリ
テーションが大きく注目され,BF の応用可能性はますます高くなると考えられる.

はじめに

SARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルスである「SARS‒CoV‒2」の感染による新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)の世界的な感染拡大は,欧米におけるロックダウン(都市封鎖)や国内における緊急事態宣言発令など人々の生活に多大な影響を及ぼした.全世界の COVID‒19 感染者数は,2021 年 2 月 23 日時点において,1 億 1 千万人を超え,死亡者数も 250 万人に近づいている[1].

一方で,感染予防対策の希望であるワクチン接種が国内でも開始されているが,終息の見込みはいまだ不明である.また,ワクチン接種が全国民的に完了したとしても,マスクと手洗いの励行および 3 密対策といった接触感染対策前提とした生活は今後も必須となるであろう.

これは,リハビリテーション領域においても重大な問題である.そもそもリハビリテーション領域の理学療法や作業療法は,徒手的治療あるいは日常生活動作指導において,セラピストと患者との濃厚接触が基本となる治療的介入であり,それを否定する接触感染対策は受け入れがたいのが現状である.

欧米では,コロナ禍以前からIT技術の発展を背景として,遠隔リハビリテーション(telerehabilitation)の開発が推進され,その効果も検証されてきた[2].しかし,国内では,未来のリハビリテーションというレベルであり,伝統的な対面リハビリテーションからの脱却は大きな議論となってこなかった.今後,コロナ禍を契機として,国内においても接触感染対策としての遠隔リハビリテーションが大きく注目されるものと考えられる.

そこで本稿では,コロナ禍におけるリハビリテーション領域の現状と課題を整理した上で,遠隔リハビリテーションとの親和性が高いバイオフィードバック(BF)技術の紹介とその応用可能性について解説する.

1.コロナ禍におけるリハビリテーション

「Clinical Rehabilitation(医歯薬出版)」というリハビリテーション医療の業界専門雑誌 2020 年 12 月号に「ウィズコロナ・ポストコロナ時代のリハビリテーション」と題する特集が掲載された.編集委員会による「特集にあたって」の中に,「これまでのリハビリテーションは,患者に寄り添うため「3 密状態」で行うのが当然のことであった.しかし,COVID‒19 患者に際してはリハビリテーション医療関係者の厳格な感染予防管理が必須となり,可能な限り「3 密回避」が必要となって,状況が一変した」[3]とある.これがまさしくリハビリテーション領域の現状を物語っている.

実際,大阪,愛知,千葉,神奈川などのリハビリテーション病院において院内クラスターが発生したことはマスコミにも大きく取り上げられた既知の事実である.当然のことであるが,リハビリテーションの対象となる入院患者は脳卒中など血管障害を持つ高齢者が多いため,COVID‒19 への感染リスクが高いだけでなく,感染すると重症化しやすいという特徴がある[4].米国の長期療養施設の報告では,入居者 1 名が感染すると,その感染率・死亡率は,入居者が 55%・34%,職員が 50%・0%,そして訪問者が 6%・6%であり,高齢入居者の感染率と死亡率が高いという実態がよくわかる[5].酒向は,「濃厚接触が業務であるリハ施設(回復期リハ病院や老健などの高齢者施設)には,COVID‒19 を絶対持ち込んではならない」[6]と警鐘を鳴らしている.

このようにリハビリテーション施設では,医療者自身が感染しないことと感染した場合は施設内に持ち込まないことにより,患者への濃厚接触を防ぐことで,患者の命を守ることが最優先される.そのため,患者は家族などとの面会が禁止され,患者同士での会話や医療関係者との接触も必要最小限にとどまるため,施設内における人的コミュニケーションが希薄となっている.リハビリテーションにおける筋力増強訓練や日常生活動作訓練などは,患者が主体的に反復したトレーニングへ取り組み,一定期間継続することを強いられる.これは患者の運動学習過程を活性化させるためのフィードバック情報の提示と励まし強化といった他者とのコミュニケーションが必須となる.これらのコミュニケーションが奪われることは,患者の意欲やモチベーションを減退させ,リハビリテーションの進行を阻害するだけでなく,患者の精神機能も低下させてうつ状態や認知症の進行を促すなどの悪影響が大きい.このようなリハビリテーション施設におけるコミュニケーション不足を解消することも大きな課題となる.

COVID‒19 感染拡大予防は,3 密対策だけでなく,社会生活の活動制限にまで及んでおり,その影響は入院患者だけでなく,地域在住高齢者の閉じこもりや不活動状態を生んでいる.コロナ禍以前の社会では,身体・文化・地域活動を通して体力と健康を維持してきた地域在住高齢者であるが,これらの活動がすべてある時に比べてすべて失われることによるフレイル発生の調整オッズ比は 16.41 に達するとの報告もある[7].このように,ウィズコロナの状況において多くの社会活動制限が継続することは,高齢者のサルコペニア(骨格筋の加齢変化)やフレイル(生理的予備能の減少)から要介護状態に陥る高齢者が増加する危険性も危惧される[

2.コロナ禍におけるリハビリテーションとバイオフィードバック

コロナ禍におけるリハビリテーションの課題は,前述したように濃厚接触業務,3 密回避困難,そして社会活動制限の 3 点である.表 1 では,このリハ課題 3 点に対する現状と BF が応用できる可能性について整理した.

この前提として,BF がリハビリテーションとの親和性が高く,その応用可能性が高いことは本誌でも論じてきた[9‒11].特に,「BF の有利な点は,工学的な技術を応用しているだけに発展が著しい IT の恩恵を受けられることであり,BF 機器をパソコンと接続することにより単純な音や光だけでなく,多様な提示の方法を工夫することで患者のモチベーションを高めることが可能となる」[11]ため,リハ課題 3 点への対策として BF の応用可能性が高いと考えている.

1・1 筋電図 BF

身体障害に対するリハビリテーションでは,失った日常生活動作を再獲得するために,まず運動機能を回復させることが必要であり,筋力増強訓練が最も基本的な運動療法となる.一般的に筋力レベルがかなり弱い場合,セラピストは患者の運動を徒手的に誘導しながら筋収縮を促すが,この操作において患者との濃厚接触が避けられない.その代替方法として,表面筋電図を用いた BF(SEMGBF)が応用可能である.SEMGBF は,筋力増強を対象とする筋肉に電極を貼付し,その電極コードをSEMGBF 機器に接続するだけで,機器本体の LED や接続した PC の画面を介した BF が可能であり,患者とは口頭指導のみで身体への接触を避けることができる.

SEMGBF 機器としては,Thought Technology 社製のMyoTrac が国内でも販売されており,機器に LED インジケーターとイヤホン端子が内蔵されているため,患者単独でのセルフトレーニングが可能である(図 1).MyoTrac はもともとホームエクササイズ用として開発されており,1CH 仕様ではあるが,コンパクトで操作が簡便であり,しかも信頼性も高いことから国際的によく使われている.実際の操作方法や適用疾患などについては,専門書籍[12]を参照していただきたい.

また,最近では,同じThought Technology社製のMyOnyx が発売され,MyoTrac と比較してかなり高価ではあるが,4CH 仕様で電気刺激装置も内蔵され,PC に専用アプリである BioGraph と Reha Suite をインストールすると多彩な BF トレーニングが可能となる[13].この機器の有利な点は,PC との接続が Bluetooth を基本としており,さらに Android スマホ用の無料アプリ(MyOnyxMobile)を使えばコードレスによる完全な遠隔トレーニングが可能となっている.

1・2 心拍変動 BF

COVID‒19 の最も恐ろしい症状は,重症肺炎による呼吸不全であり,治療のための設備と人員配置が困難なため,医療崩壊の原因ともなっている[14].適切な集中治療により重症肺炎を脱した患者に対しては,呼吸機能の改善と全身体力の回復を目的としたリハビリテーションが必要となる.COVID‒19 に罹患した高齢者を対象とした呼吸リハビリテーションの効果に関する研究では,非呼吸リハビリテーション群に対して呼吸リハビリテーション群の呼吸機能や生活の質,そして生活活動や心理的機能などを有意に改善させることが報告されている[15].

呼吸リハビリテーションには,多くの手技が含まれているが,最も基本的なトレーニングは横隔膜(腹式)呼吸練習である.呼吸機能が低下して呼吸困難を呈する患者では,呼吸補助筋を使った努力性の胸式呼吸により,全身のエネルギー消費が上昇することで呼吸効率が悪化し,呼吸困難を助長させるという悪循環が生じる呼吸効率が良好な健常者では,横隔膜呼吸を容易に実施できるが,呼吸機能が低下した患者では横隔膜以外の呼吸補助筋にディスポネーシス(無意識で不必要な筋活動)[12]が生じることで横隔膜呼吸を習得することが困難となる.このような場合,全身をリラクセーションさせてディスポネーシスの状態を緩和させる心拍変動(heartrate variability:HRV)BF が有効である.心拍変動 BF の詳細は榊原らの論文[16]に委ねるが,最近では心拍計測がスマートフォンのライトとカメラでも可能となっており,専用の心拍センサーも種類が増えて安価となっている.また,心拍センサーの装着も耳朶や指先をクリップで挟むだけの容易さであり,セラピストとの接触を避けることができる.

心拍変動 BF のホームトレーニング機器としてコロナ禍以前によく使っていたのは,emWave2(HeartMathInstitute)であったが,これらの機器は本格的なトレーニングや記録に PC との USB 接続を必要としていた.現在では,スマートフォンと Bluetooth 接続可能な InnerBalance(HeartMath Institute)が開発された.スマートフォンにインストールした無料アプリには,多彩なトレーニングメニューがあり,トレーニングの経過もグラフでわかりやすく把握することが可能となっている.本機は,心拍コヒーレンス法を導入しており,スマートフォンの画面に表示される呼吸ガイダンスに沿って呼吸することで,心拍変動のコヒーレンス(一貫性)を高め,心身をリラクセーション状態に誘導する心拍変動のコヒーレンス状態は,スマートフォンの画面に波形や色でリアルタイムにフィードバックされるため,トレーニング成果を自分で確認することができる.また,セラピストは,このトレーニング経過や成果を患者から届くメールや SNS へのアップロードによりモニターできるため,トレーニング状況の把握や患者への指導を遠隔で行えることも大きな利点となる.

コロナ禍における呼吸リハビリテーションでは,従来のようなセラピストが徒手的に患者の呼吸を誘導するトレーニングをなるべく避け,心拍変動 BF 機器を導入した遠隔トレーニングなどが必要になると考えている.

3.ポストコロナ禍のリハビリテーションとバイオフィードバックの課題

本稿で紹介した筋電図 BF と心拍変動 BF は,主に濃厚接触を避けることを目的とした BF の応用であったが,3 密回避を目的としたセラピストと患者が離れた場所でトレーニングするための遠隔リハビリテーションも技術的には可能である.しかし,日本では,その基盤となる遠隔患者モニタリング(RPM)システム[17]の整備が諸外国と比較して遅れており,遠隔リハビリテーションだけでなく,遠隔診療も十分に進んでいないのが現状である(図 2).COVID‒19 患者数が世界で最も多い米国では,感染拡大を抑制できなかったものの,コロナ禍以前から整備が進んでいる RPM システムにより,さまざまな遠隔リハビリテーションが成果を発揮している[18,19].

現在のところコロナ禍がいつ終息し,ポストコロナ禍といえる世界が来るのかも不確定の状況ではあるが,ハビリテーションの領域においては,濃厚接触と 3 密を避けながらも,一方で患者の社会活動制限を取り除くようなアプローチが要求されるのは確かである.これらを解決する光明としては,5G や 6G という IT 技術が今後加速度を上げて進歩し続けることで,遠隔リハビリテーションの発展が期待出来ると考えている.その基盤となる RPM システムは,BF との相性がよく,筋電図 BF や心拍変動 BF だけでなく,脳波の BF であるニューロフィードバック(Neurofeedback:NF)[20]やタイミングの BF であるインタラクティブ・メトロノーム(Interactive Metronome:IM)[21]などはクラウドベースで遠隔リハビリテーションが確立され,欧米で普及している

日本においても RPM システムが整備され,BFが応用された遠隔リハビリテーションの発展を期待している.

遠隔による心拍変動バイオフィードバック

心拍変動バイオフィードバック(heart rate variability biofeedback:HRVB)はあるプロトコルにもとづいて心拍変動
(正常な心臓の拍動のゆらぎ)を増大させる介入法である.心臓血管システムには共鳴を起こす性質があり,呼吸性不整脈と圧受容体反射が重要な役割を果たしている.すなわち,呼吸性不整脈と圧受容体反射の相乗的な効果がホメオスタシス機能を高めるように働くと考えられている.HRVB プロトコルは週 1 回程度の定期的なトレーニングセッションと毎日の自宅練習が提唱されている.今日のようなコロナ禍にあって,実験室や診療室における対面による介入は細心の注意を要するが,バイオフィードバックは元来,情報機器を通じて生体情報を表示・調節しようとする技法であり,オンラインによる遠隔の介入も十分に可能である.本稿ははじめに HRVB の作用機序と臨床的効果について説明し,次に遠隔による HRVB の可能性と倫理的側面について述べた.

1.はじめに

心拍変動バイオフィードバック(heart rate variabilitybiofeedback:HRVB)は,あるプロトコルにもとづいて
心拍変動(正常な心臓の拍動のゆらぎ)を増大させるトレーニングである.この方法の特徴は 1 分間に約 6 回の
頻度(約 0.1 Hz)で呼吸を整えて心拍変動を増大させるところにある.また,PC画面等で心拍のゆらぎの様子を
確かめながらこれを維持することによって,心臓血管システムを介したホメオスタシス機能を高められるように
なると考えられている[1].

HRVB の手順として,週 1 回程度の定期的なトレーニングセッションと 1 日 40 分(20 分×2 回)の自宅練習が提唱されている[2].今日のようなコロナ禍にあって,実験室や診療室における対面による介入は細心の注意を要するが,バイオフィードバックは元来,情報機器を通じて生体情報を表示・調節しようとする技法であり,オンラインによる遠隔の介入も十分に可能であると考える.本稿は,はじめに HRVB の機序と臨床的効果について解説し,次に遠隔による HRVB の可能性と倫理的側面について述べたものである.

2.心拍変動バイオフィードバックの作用機序

2・1 心臓血管システムにおける共鳴

HRVB において心拍が大きくゆらぐ背景には呼吸性洞性不整脈と圧受容体反射の役割が大きい.呼吸性洞性不整脈とは呼吸に伴う心拍数の増減のことで,息を吸うと心拍数が上昇し息を吐くとそれが低下する生理的現象である.この際,意識的に呼吸のスピードを遅くすると心拍変動の振幅は大きくなり,反対に速い呼吸では心拍変動は減少する[3,4].一方,圧受容体反射は生体のホメオスタシス機能のひとつであり,血圧を一定に保つ役割を担っている.具体的に血圧が上昇すると心拍数と血管緊張を低下させ,血圧の低下に対しては両者を高めるように働いている.この際,圧受容体反射による血圧の調節には 5 秒程度の遅れがあることから,このシステムに約 10 秒(0.1 Hz)の振動が起こることが知られ[5],加えて,このような振動システムには共鳴を起こす性質があることが指摘されている[6].共鳴とは,ある振動をもったシステムに対して同じ振動の刺激を他から与えると当該システムの振動の振れ幅が増大する現象である.したがって,約 0.1 Hz の呼吸調整による刺激を与えることで心臓血管システムに共鳴が起こり,心拍の変動が顕著に増大すると考えられる.

具体的なメカニズムについては次のように説明されている[1].はじめに,約 0.1 Hz の呼吸調整によって心拍数の増減が同じ頻度・位相で生起する(呼吸性洞性不整脈).この際,血圧は心拍数と逆位相で変化するので,例えば,息を吸うときの心拍数増加に対しては血圧の低下が生じる.このような血圧低下は圧受容体反射を刺激して心拍数の増加を促そうとする.他方,息を吐くときには心拍数の減少と血圧の上昇が起こる.このとき,圧受容体反射が刺激されて心拍数の減少が促される.このように“約 0.1 Hz の呼吸調整によって呼吸と心拍変動はほぼ同じ位相で変化し,心拍変動と血圧は逆位相で変化する”パターンは Vaschillo et al.[7]が見出した重要な知見である.このことを利用すると,約 0.1 Hz で生じる呼吸性不整脈(心拍数の増加と減少の連続過程)が圧受容体反射を刺激してさらなる心拍数変化を誘発することになり,すなわち両者の効果が重なり合うことによって著しい心拍変動の増大が起こる.ちなみに,呼吸調整以外にもリズミカルに筋を緊張させたり,情動刺激を呈示した場合にも共鳴効果が現れる[8,9].

このような共鳴の過程を図示すると次のようになる.図 1 は約 0.1 Hz の頻度(この例は 0.0938 Hz)で呼吸調整を行った際の呼吸,心拍数,血圧を示している.呼吸による心拍数の増減(呼吸性洞性不整脈)と血圧変化に関わる心拍数の増減(圧受容体反射)が同時に生起している様子がわかる.ここで圧受容体反射を具体的にとらえるために,この過程における血圧と心拍の関係を示したのが図 2 である.上段は心電図の RR 間隔(心臓の拍動間隔)データと収縮期血圧の変化を表している(ソフトウエアの特性上,RR と血圧の位相はややずれているように見える).黒枠は血圧の低下に併行して RR間隔が減少するデータ系列を示した箇所である.ここで RR 間隔は心拍数と逆の振る舞いを示すため,血圧低下に対する心拍数増加は RR 間隔の減少となって現れる.一方,図 2 下段の右側は血圧と RR 間隔の関係を示したものである.血圧の変化に対して 1 拍遅れた心拍に圧受容体反射が反映されるとする考え方のもとで回帰係数を算出すると[10],血圧 1 mmHg あたり 23.9 msec の RR 間隔の変化が生じたことになる.ここでは,RR 間隔データと血圧の組(シーケンス)が 0.9 以上の相関をもち,RR 間隔の変化が 2 msec 以上,かつ収縮期血圧が 1 mmHg 以上(両者連続的に)変化した場合について算出している.

なお,データ全体の圧受容体反射感度(回帰係数の平均値)はこの場合 24.7 msec/mmHg となった.

2・2 共鳴による効果

HRVB,すなわち“共鳴周波数をもとに呼吸調整を行いながらバイオフィードバックによって心拍変動の増大を維持するトレーニング”は,上述の機序を参照すると,次のような臨床的効果を発揮すると考えられている[11].

2・2・1 副交感神経活動の増加  HRVB のトレーニングによって副交感神経が刺激される可能性がある.呼吸性洞性不整脈は心臓に対する副交感神経(迷走神経)によって媒介され[12],圧受容体反射も副交感神経(迷走神経・舌咽神経)を介して機能している[13].これらのことから,共鳴周波数による呼吸調整の刺激は副交感神経活動を活性化するように働くことが期待される.さらに,副交感神経の刺激によって情動制御の改善も期待できる可能性がある[14].

2・2・2 ガス交換効率の改善  共鳴の過程では呼吸と心拍が同じ位相で変化するため,吸気のタイミングに合わせた心拍数の増加はガス交換効率の向上に貢献していると考えられる[15].したがって,さまざまな疾病に関わる呼吸機能の改善に役立つ可能性がある[11].

2・2・3 休息機能の向上  さらに,呼気のタイミングにおける心拍数減少は循環に関わるエネルギー消費を抑えるのに役立ちガス交換効率の改善とともに,心肺系の“休息”に貢献している.実際に呼吸性不整脈(呼吸に伴う心拍数の増減)は日中に比べ睡眠中に著しく発現し[16],このときの呼吸性不整脈の大きさは休息(回復)機能を反映する指標になると考えられている[17].興味深いことに,就寝前に行う HRVB は睡眠中の呼吸性不整脈の振幅を増大させるので,睡眠に伴う休息機能を支援する可能性がある[18].また,就寝前の緩徐な呼吸調整は睡眠効率の改善ももたらすという報告もある[19].

2・2・4 血圧の調整  HRVB は上述のように圧受容体反射を刺激するため,血圧のコントロールを助けるように働くと考えられる[11].

3.遠隔による心拍変動バイオフィードバック

対面による支援と同様に,Lehrer et al.[2]が提案するプロトコルに則って遠隔によるHRVBを実施することができると考える.このプロトコルは週に 1 度のバイオフィードバック訓練セッションとその間の自宅練習によって構成され,5 回程度の訓練セッション以降も自宅練習を継続して実施するようになっている.ここではプロトコルの概要をまとめ,遠隔実施における工夫や倫理的な側面などについて述べる.

3・1 バイオフィードバックセッション

HRVB プロトコル[2]は,共鳴周波数の特定(初回セッション),HRVB(第 2 セッション),呼吸調整プログラムを利用した HRVB(第 3 セッション)の手続きが基本となっている.

3・1・1 初回セッション  HRVB の中心コンセプトである「共鳴周波数,すなわち,心拍変動が最大の振幅となる周波数で呼吸を調整すること」をクライエントに丁寧に説明し,共鳴周波数の特定作業に入る.はじめに,6回/分のペース呼吸を3分程度実施してその間の心拍変動を測定する.この際,呼吸ペーサー(ソフトウエア:後述)を使って正確なスピードの呼吸を誘導する.ト
レーナーは,①呼吸の動きに一致して心拍変動が生じているか,②心拍変動の山と谷の差はどの程度か,③LF(心拍変動の低周波)帯域(0.04~0.15 Hz)パワーはどの程度か,④LF のスペクトルピークの大きさはどの程度か,⑤心拍変動はサイン波のように滑らかな波形になっているか,⑥LF スペクトルは鋭い単一のピークになっているかなどについてチェックし,最後に,⑦呼吸調整に対するクライエントの安静レベルやコメントを聴取する.この後,順次,6.5 回/分,5.5 回/分,5 回/分の呼吸調整を行い,必要な場合に 4.5 回/分についても測定する.これらのうち,反応が最も顕著なものを共鳴周波数として評価する.

次に,トレーナーは次の週(第 2 回)まで共鳴周波数による呼吸調整を 1 日あたり 40 分間(20 分×2 回)練習するように教示する.ただし,練習の初期は呼吸が深くなって過換気症状を引き起こしやすいため,これを避けるためになるべく浅く自然な呼吸を心がけるように注意する[11].この際,息を吐くときは口をすぼめて行うと実施しやすいこと,吸う息よりも吐く息が長くなるよう心がけること,なるべくお腹を使った呼吸を意識することなどを告げる.

3・1・2 第 2 回セッション  クライエントの呼吸活動を測定しながら心拍変動の振幅を最大に増加させることを目標に共鳴周波数による呼吸調整を行う.この際,初回セッションで特定した共鳴周波数を再確認する意味で,当初の共鳴周波数から 0.5 回/分だけずらした呼吸調整を行い,心拍変動の反応を観察することもある.共鳴周波数の再確認(再評価)が終わったら,安静(5 分)―HRVB(20~30 分程度)―安静(5 分)を実施する. バイオフィードバックは,呼吸と心拍変動が同じ位相で変化することを確かめながら,共鳴周波数のスピードに慣れてきたら呼吸ペーサーなしで呼吸調整を続ける.特に,心拍数が増加から減少に転じるポイント(あるいは減少から増加に変わるポイント)を意識して呼吸調整を行うと,自然に大きな振幅の心拍変動が現れるようになるこの呼吸スピードが共鳴周波数である).また,心拍変動のスペクトルグラフをみながら,心拍変動 LF 帯域のパワーが大きくなる様子を意識してもよい.ただし,この練習においても過呼吸を避けるために,自然で浅い呼吸,呼気の際は口すぼめ呼吸を意識する.3・1・3 第 3 セッション  基本的に第 2 セッションと同様であるが,自宅練習で用いることのできる小型バイオフィードバック機器または呼吸ペーサーを使って練習する.小型機器はディスプレイ上の光点が移動して共鳴周波数の呼吸を誘導するタイプのものや心拍変動(指先または耳朶の脈拍)をウインドウに表示するタイプのものもある.呼吸ペーサーの場合は共鳴周波数の特定に使用したソフトウエアを利用する.いずれも,クライエントが自宅練習に利用できるもので実施する.ここでも,呼吸調整の際に過呼吸が生じないように注意する.

なお,これ以降のセッションも基本的に同じ内容だが,セッション冒頭には自宅練習でのクライエントの疑問や症状などについて丁寧に聴取する.また,心拍変動の増大が芳しくないときは共鳴周波数を再評価する.

3・2 遠隔実施における工夫3・2・1 簡便な機器の利用

オンラインを介してバイオフィードバックを行う際は,クライエントが自分のPC やスマートフォンを使ってなるべく簡便に心拍変動を把握でき,また,その画面を共有できるような工夫が必要となる.共鳴周波数の評価においては呼吸を正確に誘導するために EZ‒Air®(http://bfe.org/try-our-breathpacer-ez-air-plus/ ,Thought Technology)などのソフトウエアが用いられることが多い(期間限定だが無償で利用できる).emWave Pro®(HeartMath, Inc.)(ソフトウエアおよび専用のセンサ)を利用すると PC を使って心拍変動の振る舞いを簡便に評価することができる.

また,Inner Balance®(HeartMath, Inc.)は専用アプリをスマートフォンにダウンロードして自宅練習に利用す
ることができる(ただし,耳朶に装着する専用のセンサを購入する必要がある).このアプリは呼吸ペーサーを備え,刻々と変化する心拍変動のスペクトルの結果を表示することができる.ただし,HeartMath, Inc. 社のソフトウエア(およびアプリ)は“Coherence”の考え方にもとづいて心拍変動を評価する仕様になっており[20],「共鳴周波数の呼吸調整による心拍変動の増大」を直接反映する指標でないことに注意が必要である.これまで筆者が使用してきた印象では,共鳴周波数による呼吸調整は Coherence 値も正しく増加させるようである.

3・2・2 ベースレベルの評価  遠隔による介入において(対面も同様に),“心拍変動のベースレベルの増加”はトレーニング効果を評価するひとつの指標として重要である[21].したがって,訓練セッションの冒頭で 5 分程度の安静測定を行い,心拍変動の各指標のベースレベルとして記録・評価することが有用である.Lehrer etal.[22]は 10 週間の HRVB を実施し,第 1・4・7・10 週の経過を検討したところ,トレーニング直前安静時の圧受容体反射感度と呼吸機能(最大呼気流量)が徐々に上昇したことを報告している.この変化とともに,心拍変動の指標(RR 間隔のスペクトルパワー,心拍変動低周波成分パワー,心拍変動高周波成分パワーなど)のベースレベルもセッションを追うごとに増加傾向を示していた.また,これまでうつ病[23],線維筋痛症[24],心的外傷後ストレス障害[25]などにおいて HRVB の臨床効果が検討されているが,いずれもセッションが進む過程で症状の改善とともに心拍変動成分の増加が報告されている

3・3 介入に関わる倫理的側面

HRVB を実施するにあたり倫理的な側面についても十分に検討しておかなければならない.Striefel[26]はHRVB を実施する際の倫理について,治療者の能力(competence),インフォームドコンセント,自宅練習の観点から議論している.

治療者の能力とは,HRVB に関わる基礎的な知識(生理的メカニズム,心拍変動の測定法,従来研究の知見など)をもち,適切にこの技法を実施できるスキルがあるかどうかという点である.治療者はそれぞれが携わる分野(臨床/研究など)において期待される役割があるが,重要なことはクライエントに危害を加えず,クライエントが治療を受けることで利益を得ることができるよう十分な能力を発揮できることである,と指摘されている.

そのため,クライエントについての細かな情報を把握するとともに,この技法の利益とリスク,これまでどのような臨床(または研究)データがあるか,代替となる治療のオプションがあるかなどの情報をクライエントと共有しておく必要がある.ちなみに,クライエントに期外収縮のある場合にはHRVB中にそのイベントが増えることがあるので注意を要する[1].心理師(または心理士)として関わる場合には主治医をはじめ多職種スタッフの理解と連携は欠かせない.

次に,インフォームドコンセントの側面として,自宅練習を支えるのに必要な臨床的データ(または研究データ)の存在,練習用機器の使用に対してどのようなサポートができるのか(できないか),さらには,自宅練習中に何らかのネガティブな副作用が生じた場合の対応などについて明らかにしておかなければならないと指摘されている.特に,遠隔によるアプローチの場合には通信の不具合に見舞われたり,面談以外の時間に発生する緊急事態への対処(クライエントの居住地近隣にバックアップ対応が可能となる施設があるかどうかなど)についても検討しておく必要がある.

セッションを通じて,クライエントが HRVB の手順を習得すると,あとは「自宅練習」がトレーニングの大部分を占めるようになる.つまり,自宅練習は治療計画の不可欠な部分であり,これを開始する前に計画の策定,進捗の評価方法についてクライエントと話し合っておくことが重要である.

4.まとめ

HRVB に関する研究数は年々増える傾向にあり,今日,HRVB はバイオフィードバックの代表的な手法のひとつであるといっても過言ではない.最近のレビューではこの技法の効果のサイズは小~中程度であると報告されているが,不安,抑うつ,怒り,運動や芸術パフォーマンスの向上に限ってみると比較的大きな効果のサイズが報告されている[11].

このような HRVB の礎を築いたのは Paul Lehrer 博士(Rutgers University)と Evgeny Vaschillo 博士(Rutgers
University)である.本稿で紹介した“心臓血管システムにおける共鳴”という事実の発見は 1980 年代に Vaschillo
博士が(当時)ソビエトで行った研究に端を発している[27].実験は 5 人の宇宙飛行士を対象に行われ,0.01~
0.14 Hz までの 7 つの周波数条件のもとで呼吸,心拍数,血圧の関係が調べられた.各周波数で変化するサイン波
の動きがディスプレイに映され,ここに参加者の心拍変動が重ねて呈示された.この際,心拍変動は“内部状態を反映する情報”であると伝えられ,参加者はそれをサイン波の動きに合わせるよう求められた.また,内部状態(心拍変動)を調整するためのヒントはいっさい与えられなかったにも関わらず,参加者は自らの呼吸を調整したり,一部の者は筋を緊張させてコントロールした.
分析の結果,約 0.1 Hz のサイン波条件において最も大きな心拍変動が観察され,上述のような位相関係が観察された.この際,心拍変動が最大となる周波数(すなわち共鳴周波数)は個人によって異なっていたが,いずれも0.075~0.12 Hz(4~6.5 回/分)の範囲にあった[7,28].

さらに,Vaschillo 博士らは“共鳴周波数を利用した心拍変動のバイオフィードバックコントロールが自律系ホメオスタシス機能を改善する”という着想に至り,当該技法をさまざまな神経症や心身症に応用した(例えば,hernigovskaya et al.[29]).これを喘息患者において実施し有効性を検討したのが Lehrer 博士らの臨床研究であり[30],その後の多くの臨床的,基礎的研究につながっている.最近では,脳機能に及ぼす影響が積極的に検討されるようになり,情動制御のメカニズムが明らかにされつつある[31].
情動のコントロールやストレス緩和のための介入法としてみたとき,HRVB について興味深いのは,この手続きがクライエントの認知にアプローチするような方法とは異なり,自律神経機能を基盤とした作用機序が臨床効果の根拠として示されている点である.そのため,HRVB 研究は臨床的(応用的)側面と基礎的側面の両者がお互いを支え合うように進んでいる.

Evgeny Vaschillo 博士は昨年(2020 年)にご逝去されました.Evgeny 先生は奥様の Bronya 先生とともに Rutgers 大学(前 University of Medicine and Dentistry of NewJersey)にて数々のプロジェクトに携わり,2018 年にはAAPB distinguished scientist award を受賞されました.その記念講演では HRVB の効果(情動制御やパフォーマンス向上)の裏付けとなる脳の fMRI データが示され,たいへん印象的でした.たびたび学会でお会いしたときは筆者の拙いアイデアに熱心にコメントをくださったことを覚えています.いつも穏やかで優しい方でした.心より Evgeny Vaschillo 博士のご冥福をお祈りいたします

コロナ禍における医・工・心連携とリテラシーについて

コロナ禍の臨床現場では今「直接触れ合う」ことを避ける傾向にある.今まで通りバイオフィードバック治療/施術を
行えるように,著者らは日本バイオフィードバック学会独自の医学系・工学系・心理学系の連携を背景に,最近日本でよく用いられるようになった遠隔 web ビデオ会議システムを用いた新しい形の治療法を試案した.具体的な治療法は,1990 年代から一貫して用いている,自律訓練法,バイオフィードバック法と呼吸法を組み合わせた方法である.今回,5 例の冷え症の女性に遠隔治療を試みて症状改善が得られ,その結果を NHK の全国放送で発表した.時代に応じ,治療法に ICT(Information and Communication Technology)を駆使した新しい試みだが,治療する/される側,発信する側/視聴する側それぞれには,今まで以上に ICT を「適切に」使いこなすための「リテラシー」が要求される.本稿では,「リテラシー」に関する著者らなりの見解を示す.

本稿は,最近の我々の日常生活に甚大なる影響を及ぼしている新型コロナウイルス禍(以下;コロナ禍)と,40 年以上も前から連携が有効に機能している日本バイオフィードバック学会内の医学系,工学系,心理学系が,今後その影響下でどのように活動展開することが可能かについて私見を述べ,また ICT を用いる際に必要な「リテラシー」に今一度焦点を当てるものである.

1.緒 言

コロナ禍の最大の難点は,対面で温もりが伝わり合う距離感での人同士の関係が,(半)強制的に「薄く」させられたことだと著者らは感じている.ソーシャル・ディスタンス(キープ・ディスタンス),ステイ・ホーム,在宅勤務などを上から強要され,あらゆる場面や状況で繰り返し言い続けられることで,多くの人は外出することや人(離れて住む家族や親戚とさえ)と会うことを極力避けるようになった.人同士会うこと自体が「新型コロナウイルスに感染する」結末に至るのだと,大半の人が思い込むようになった結果,経済活動がほぼ「完全静止」したのである.

実際に,著者らの周りでも感染者が少なからず出ているだけではなく,感染経路が不明な人も多くいる.どうすれば感染を回避できるかが判然としない以上は,家から出かけて人と会うリスクを減らすしか方法はない.

2020 年 11 月から原則禁止となっていた旭川と札幌の往来も,4 カ月近く経った 2021 年 3 月 1 日にようやく解除されたばかりである.

そんな時代背景で,臨床のバイオフィードバック法を用いる現場では,どのように工夫し,治療/施術を必要と
している一人ひとりの患者/クライエントと接するべきなのだろうか.実際,病院やクリニックをはじめ,バイオフィードバック治療/施術を受けられる場所へ,出かけること自体を躊躇する中で,何か妙案はないものだろうか.
本稿では,そのような時代がいつかやってくることを想定していた著者らが,長年かけて色々と考え,工夫し,
試してきたことの一部を紹介する.

2.医・工・心連携

日本バイオフィードバック学会(JSBR)は,医学系,工学系,心理学系〔この順序は,JSBR での並べ方(あい
うえお順)に準じている〕の 3 つの分野が連携し,共同運営されている.

筆頭著者の及川が医学系の神経内科領域で仕事を始めた当初,心身症と呼ばれる病態や「自律神経系の不具合」を伴う各種疾患へ関心が向いた.掘り下げて勉強することを後押ししてくださった,恩師・北海道大学神経内科学講座・田代邦雄教授(当時)の取り計らいで,田代教授の大学同期,室蘭工業大学保健管理センターの斉藤巌所長(当時)に会わせていただいた.治療に難渋していた痙性斜頸患者に対し,斉藤所長が表面筋電図を測定しながら音と光で患者へフィードバックする装置で治療した際の即時効果を目の当たりにし,バイオフィードバック 3 領域の特に工学系分野と「メカニズムに関する研究」の虜になった及川は,斉藤所長と一緒に JSBR や AAPB(現在の The Association for Applied Psychophysiology andBiofeedback, Inc.)の学会に繰り返し出向いては,新しい知識,学説や機器に多く触れる機会を得た.

進行性で長期闘病を強いられている,多くの神経難病患者を診る中で,たとえ根治療法がない疾患であっても,バイオフィードバック法は何らかの(自律)神経症状の改善効果を導き出せること,さらにそこへ心理学的アプローチを追加することで,日常生活動作(Activitiesof Daily Living:ADL)だけでなく生活の質(Quality ofLife:QOL)を改善できることを知った及川は,年間患者数が全国的に見て飛び抜けて多い,東邦大学心療内科学講座で勉強したいと田代教授に相談したところ,直ちに筒井末春教授(当時)に連絡を取ってくださり,半年間の国内留学が叶った.筒井教授には,患者への心理学的アプローチ,自律訓練法,バイオフィードバック法,臨床動作法,精神分析法などを直に教わり,著者が神経内科専門医だけでなく,心療内科専門医を取得することにもつながった.

そういう研修医時代を送った及川にとって,JSBR は大変住み心地が良く,自分の医療者としての原点にあることを自負している.共同著者の榊原と及川が最初に出会ったのも,JSBR の学会会場においてだ.治療困難な症状で困窮している患者やクライエントにとって今までもそうであったように,この JSBR の医・工・心連携こそ,我々が直面するあらゆる難病に(何らかの症状改善効果を通して)打ち克つ最強の手段である,と我々は信じている.もちろん,昨今のコロナ禍では,単に治療法を確立すれば良いのではなく,感染予防を徹底した形での独自の工夫が必要であろう.

では,果たして JSBR の医・工・心連携を用いて,どのような形でこの難関を乗り切るべきだろうか.

3.リテラシー

「リテラシー」という単語は,良い日本語訳がまだ見当たらない.さまざまな団体や研究者たちによる説明はなされているものの,最近気に入って用いている説明は,ウィキペディアの概説に書いてある(2021 年 3 月 14 日最終閲覧)通りだ.

そこに,リテラシーとは「書かれた(印刷された)言語に限らず,様々な言語,コミュニケーションの媒体(例えば,ボディランゲージ,画像,映像等まで含む)を適切に読み取り,適切に分析し,適切にその媒体で記述・表現できること」と記してある.
すなわち,ある媒体を通して伝わってくる情報(あるいは「伝わってこない(隠されている)」情報)を,受け
手側が五感(時には第六感も使って)を通じて自分の中に取り込む際に,既に身につけている知識や経験にもとづく「適切な解釈」を加え,次の活動につなげることのできる資質を意味していると考えられる.相互コミュニケーションが可能な媒体であれば,「次の活動」として今度は自らが送り手として「適切な発信」を返すことが求められる.

著者らの理想とするリテラシーとは,その媒体の特徴や有効性だけでなく,限界や負の効果も十分に理解した上で,送り手と受け手の間に,可能な限りの信頼性,対等性や公平性が保証されるものだ.

あえて,今そのことに言及する理由は何か.

昨今のコロナ禍で,「家(屋内)にいる」時間が増えたことが一番の理由だ.「ステイ・ホーム」キャンペーンや
在宅勤務などがきっかけで「新型コロナウイルスに感染するかもしれない」という不安が助長され,気ままな外出やちょっとした寄り道の機会を失った者たちは,テレビやコンピューター,タブレット,スマートフォンなどの工学系媒体をいじる機会が増えたことで,送り手が各種の媒体経由で四六時中送り込んでくる情報から,「良質」「有益」なものを「上手に」取り入れる資質が,今まで以上に要求されるからである.リテラシーの最大の妨げとなるのは,未知のものへの無知(あるいは間違った情報)から生じる,陰性で排他的な感情だ.他者の介入する余地のない「個」が,間違った発信を一つすることで,全体が間違った方向へ暴走する危険性は,今まで以上に高くなっている.

スポンサーがついているようなマス・メディアだけでなく,各種 SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)や遠隔 web 会議システムを用いる際にも,同じだけリテラシーが必要となる,と著者らは考える.送り手や開催者・ホストとなる側と,受け手となる参加者やフォロワーたちとの間には,記述・表現の「自由」があるのは見て取れるが,そこに参加している者たちがそこでなされているやりとりの信頼性,対等性や公平性を「適切に」見届けているのかどうかが,リテラシーの最重要課題となるのではないだろうか.

2020 年暮れ頃から 2021 年初めにかけて,旭川市内で複数の新型コロナウイルス感染症「クラスター」が発生した際に,旭川医大病院リハビリテーション科(医師)とリハビリテーション部(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)では,各科からの依頼に応じて,感染予防に全力をあげながら,最前線で最大限の効果が得られるように,感染者のリハビリテーション治療にあたった.その際に,姿の見えないごく一部の方々(同じ医療者仲間からも)から,リテラシーの不足(送り手側として我々が黙秘していたことにも起因するのかもしれないが)によると思われる誹謗中傷があったのを思い出すと,今でも心が痛む.

前にも述べたように,JSBR は医学系,工学系と心理学系の三つ巴でバランスの良い連携によって成り立っている学会だ.例えば「新型コロナウイルス」という新奇な危機に直面した際に,医学系は医療的対処法(検査,治療,予防,疫学など)について考え,工学系は各種機器や道具の活用方法や必要に応じての改良や開発を手掛け,心理学系は疾病やその蔓延などに伴う不安や抑うつなどの心理的変化が健康に重篤な悪さをしないようにすることができる.歴史的にみても,まさにコロナ禍でも最大限に前向きなチームワークを発揮することに慣れている学会が,著者らの誇る JSBR なのである.

対人関係を「直接」築き上げて触れることができなくても,患者/クライエントと治療者/施術者がやりとりすることができないだろうか.以下に,ICT(Informationand Communication Technology)とリテラシーに留意した,著者らなりの取り組みを示す.

4.自律訓練法とバイオフィードバック法の融合

1990 年代後半から,及川は冷え症をはじめとする自律神経系の不具合に起因すると考えられる症状で悩まされている患者を対象に,自律訓練法,各種バイオフィードバック法と呼吸法を組み合わせて指導しており,有効例の一部について発表した[1‒6].当時は,患者/クライエントに「直接触れて」治療することが重要だと考えており,1997 年に半年間の国内留学をさせていただいた東邦大学心療内科でも,治療者/施術者が他動的に体を動かすことで患者/クライエントに気づきと行動変容を促す,

成瀬らの臨床動作法[7]を用いての治療有効例も経験できた[8].

その後,2004~2009 年に米国の UMDNJ(University ofMedicine and Dentistry of New Jersey)で Paul Lehrer 教授の元で海外留学した際に,Autogenic Biofeedback(自律訓練法とバイオフィードバック法を組み合わせた治療
法)という既成概念があることを知った.しかも,Menninger 財団では 1960 年代に既に皮膚温を用いたバイオフィードバック法についても研究し尽くされていたのだ.その領域の二大権威,Norris と Fahrion と会った際に,及川が 1990 年代にひどく苦労しながら難病患者の自律神経系の不具合からくる各種症状改善に,自律訓練法と各種バイオフィードバック法と呼吸法を組み合わせて治療していた苦労話をすると,彼らは非常に熱心に聞き入って喜んでくださり,すぐに意気投合した.その後,彼らとLehrer教授に任されてAutogenic Biofeedbackについて 10 年ぶりの改訂版を代わりに執筆させていただいたのは,及川の人生における最大の悦びの一つといえる[9].
米国から帰国した及川は,2014 年 11 月から 2016 年 3月にかけ,第 56 次日本南極地域観測隊の一員として昭和基地で越冬した.ちょうどタイムリーに,NHK から日本国内のあらゆる学会宛に「冷え症の治療法を求める」という連絡が入ってきたため,すぐに応募.「ためしてガッテン」(番組名は 2016 年 4 月から「ガッテン!」に変更)で,当時用いていた Autogenic Biofeedback の特殊な方法を昭和基地からリアルタイムの生中継で披露する機会を得た(2015 年 12 月 23 日放映).この際に,遠隔web ビデオ会議システムを用いてクライエントと「直接触れない」方法を試すきっかけを与えられ,ICT を用いた情報の交換や伝達の可能性や,前段で説明した「リラシー」の重要性と危険性に気づき,色々考える良い機会となった.
越冬中の隊員たち相手に治療研究を行ったが,何度か治療に難渋する場面があった.それは,特に本人が「緊張している」ということに気づいておらず,あるいは否定している場合だ.長期間,慢性的かつ微妙なレベルで交感神経が(副交感神経に対して)優位になっている場合には,たとえ筋緊張状態が存在していても,それに気づかないのは合点がいく.実際に,東邦大学で患者に臨床動作法を用いた際にも「緊張していること自体に気づかせることは困難だ」と感じていたことを思い出す.当時のジレンマについては,一部発表した[10,11].

南極から帰国した 2016 年から榊原と相談しながら数年かけて改良したのが,2021 年 2 月 17 日の NHK「あさ
イチ」で紹介された“スー・ハー”リラックス法である.このネーミング自体は,及川が NHK の担当者らと共同で考案した「一般向けの」ものである.通常の HRV‒BFHeart Rate Variability Biofeedback)で用いられる 0.1 Hではなく「ゆっくり」した呼吸法と動作を用いていることと,遠隔 web ビデオ会議システムを用いていることが,今回の著者らなりの工夫だ.
その具体的な方法については他稿に譲り,ここには要点だけ記す(NHK「あさイチ」のホームページ[12]参
照):
1.イスに座り,目を閉じて両手を太ももの上に置く.
2.ゆっくりと息を吸いながら手足の指の力を入れる.
3.ゆっくりと息を吐きながら手足の指の力を抜く.
4.それを 10 分間繰り返す.

「ゆったりとした服装で,足元に寒さを感じないようゆるめの靴下をはくか,床にタオルを敷くのがおすすめです.イスがない場合は,布団の中で横になりながら行っても大丈夫です.冷え改善には,1 日 2 回を繰り返し行うのがおすすめということです」と,コロナ禍の感染予防や不安のため自宅で過ごす時間が増えている方々を対象に,簡単に工夫できるコツについても触れている 実際には,事前収録日を設け,担当アナウンサーを入れて 5 名の冷え症の女性を対象に遠隔 web ビデオ会議システム Zoom を用いて,皮膚温サーモグラフィーで測定しながら遠隔にて(及川は旭川医大から,女性らは東京の NHK から参加)指導した.結果として,5 名ともに皮膚温と同時に冷え症の自覚症状の改善が得られ,1 週間の練習後にも効果は持続していることを確認でき,そのことを全国放送の番組内で紹介できた.
本法の最大の特徴は,①クライエントに「直接」触れることなく,②遠隔 web ビデオ会議システムを用いたバイオフィードバック法が有効に行え,③(マス)メディアを通してその情報を国民に広く伝達できたということだ.条件と環境は多少異なるものの,6 年前の南極越冬中と,コロナ禍の今回と,二度同じような方法を試して成功することができたのである.
リテラシーの箇所とも関係してくるが,「ためしてガッテン」と「あさイチ」の視聴者に,AutogenicBiofeedback と“スー・ハー”リラックス法がそれぞれ「適切に」伝えられたことを期待している.当然,視聴者から著者らに対して記述・表現が生じ,本法の改良・改編につながることも期待している.
5.おわりに
JSBR の最大の特徴でもあり,魅力なのは,医学系,工学系,心理学系という 3 つの別々の領域が合わさって,一緒の研究活動を半世紀にもわたって継続できていることである.用いている専門用語や研究の方法などにそれぞれ違いがあるものの,毎年開催される学術総会で,お互いが持ち寄った研究成果について発表したり質問したりディスカッションしたり理解を深めたりできることが,本学会の一番興味深いところである.
リテラシーという,今まであまり前面に出して議論することのなかったテーマは,実は昨今のコロナ禍において着目して論じるべき最大の一つだと著者らは考えた.それは,本稿でも少し述べた通り,「生かしたり」「殺したり」両極端へ走り得る,諸刃の剣であることを忘れてはならない.
二度のNHKとの取り組みを通じ,ICTの特に遠隔webビデオ会議システムと(マス)メディアを用いた治療法が,安全かつ有効に用いられる可能性が示唆された.

及川は医学部を卒業後,大学院で EBV(Epstein‒BarrVirus)という唾液に普通に存在するウイルスの研究で,日夜 PCR 検査に没頭した.研修医時代は,当時の国立療養所で結核患者のリハビリテーションをスタッフとチームで行った.まさか,その当時のウイルス・感染症に関する知識,感染予防と治療におけるさまざまな工夫とノウハウ,さらに榊原をはじめとした心理学系の方々との交流が,コロナ禍の最前線の治療現場で最大限に活用されるようになろうとは,まったく想像できなかった.
災害は,周期的に繰り返す.しかし,人類はその都度,過去の経験と全力をあげたチームワークをきっかけに,その難関をクリアしてきている.今回のコロナ禍の中でも,JSBR の医・工・心連携が長年行ってきたようなチームワークが「適切に」機能すれば,いつかは必ず克服できることだろう.

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