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坐禅時の呼吸,脳波と脳血流―その相互関連性に関する総合的検討・考察

坐禅時の呼吸,脳波と脳血流―その相互関連性に関する総合的検討・考察

坐禅時の呼吸,脳波と脳血流―その相互関連性に関する総合的検討・考察

近年,さまざまの瞑想法に対する科学的研究が数多くなされ,概して,瞑想時は“低代謝でありながら,目覚めた状態”であることが,その特徴のひとつとされている。禅瞑想においても,脳波α波 の 増 加 や 感 覚 刺 激 に 対 す る 慣 れ の 抑 制(Kasamatsu,K.,& Hirai,T.,1969),心拍数の低下(Goyeche,J.R.M.,Chihara,T.,& Shimizu,H.,1972),酸素消費量の低下(Sugi,Y.,& AkutsuK., 1968)など,1950年代後半から,その生理・心理学的効果が,報告されてきた。坐禅時にエネルギー代謝が低下する現象は,Sugi,Y.,& AkutsuK.(1968)によって明らかになったが,その原因機序については,未だ不明な点が残されている。
Hirai,T(. 1960)は,坐禅時の呼吸数の減少が,脳波の徐波化をもたらすことを指摘し,坐禅時のエネルギー代謝の低下を,大脳皮質の興奮水準の低下にもとづく,脳のエネルギー代謝量の低下とみなした。
また,Sugi, Y., & Akutsu, K.(1964)は,調息により,緩徐な呼吸が行なわれる,坐禅時の呼吸数,換気量,酸素消費量等を測定し,坐禅時のエネルギー代謝の低下は,脳の代謝の減少によるものであり,それは,基礎代謝よりも低下すると報告した。すなわち,坐禅時の姿勢保持に要するエネルギー量を除いた残りは,脳の消費カロリーであり,それは全身の総カロリーの 30%を占める。したがって,脳が極端に鎮静すれば,総代謝量も低下するはずであると推論した。
瞑想,特にヨーガや坐禅においては,古来,呼吸をゆったりと随意的に統御する「調息」が重視されてきたが,Sugi,Y.,& AkutsuK.(1968)は,さらに,この調息の代謝に及ぼす影響を検討する実験を行なった。坐禅経験の浅い参加者に,分時2~60回の条件呼吸を負荷し,呼吸の仕方と酸素消費量との関係を求めたところ,呼吸数の多い場合も,また少ない場合も,坐禅初心者には負荷が大きく,酸素消費量が増加し,調息による坐禅の結果とは逆になった。したがって,坐禅時の代謝効果は,単に呼吸数を変化させることのみによるのではなく,調身・調息・調心の平衡によるところが大きいと考えられている。
禅瞑想時の呼吸および脳波に関する,先駆的で綿密なる研究のひとつとして,「禅の医学的心理学的研究」がある。これは,調息を行なう曹洞宗の禅僧を対象に,一週間にわたる接心時に実施された,本格的かつ総合的な8大学の共同研究であり,その測定結果が報告されている。
本論では,この総合研究にも参加した杉・阿久津の論文(1964)の資料を基に,坐禅時の呼吸,脳波と脳血流の相互関連性(coupling/uncoupling)について,文献的に検討し,著者らの成跡をも加えた総合的考察による,呼吸統御(調息)と脳活動の概説を試みる。

1. 坐禅時の呼吸およびガス代謝

杉・阿久津の実験報告(1964)は,昭和 36・37年に行われた「禅の医学的心理学的研究」の呼吸およびエネルギー代謝を分担したもので,静岡県の可睡斎における一週間の接心生活に参禅した僧侶の坐禅成積は,以下の通りである。
1)坐禅時の呼吸数の変化
安静時の呼吸数は,通常毎分 11~14回であるが,坐禅開始,間もなく,調息と呼ばれる意識的な深い呼吸によって,毎分4~6回前後に減少する。その後,坐禅一 を通して毎分3~7回の呼吸数で定常状態を示し,極端なものでは,毎分2回ないし 2.5回という少ない呼吸数を維持している。
2)坐禅時の呼吸曲線の変化
坐禅調息時は,呼吸の深さ及び一回呼吸時間が延長する。坐禅前後の調息期間の胸部・腹部の呼吸関係は,深さ及び量的に2:3程度の比を示すが,坐禅中は1:5で,腹式呼吸が絶対的優位である。
3)坐禅時の一回呼吸(換気)量の変化
呼吸の深さを示す一回呼吸量は,安静呼吸で通常,450~550mであるが,調息時には 1400~1500m(3 倍),坐 禅 中,安 定 し て い る 場 合 は800~1300m(2倍)にも増加する。これは,個人差も大きい。
4)坐禅時の分時換気量の変化
安静呼吸では,通常5~6ℓ(平均毎分 5.5ℓ)で,群全体がやや少ない。坐禅時の毎分換気量は,平均 4.0~4.5ℓで約 20%の減少を示し,坐禅開始後1~2分で安定する。
しかし,この換気量(S.T.P.D)の低下は,坐禅時のエネルギー代謝の直接の指標とはならない。
毎分呼吸量(換気量)[m,B.T.P.S]と酸素消費量[m,S.T.P.D]の比である呼吸当量,すなわち,坐禅時の特殊換気能率は,定常状態において調息期よりも高く,優れた酸素摂取率を示している。
5)坐禅時の呼息時間と吸息時間の関係
調息期および坐禅中の呼息と吸息時間との比は,平均2(呼):1(吸)と呼息時間が長く,呼吸数の極端に少ない例では,呼息時間の延長が著しい。坐禅の調息は呼息が主で能動的である。下腹に力をこめ,静かで長い呼息の繰り返しは,横隔膜運動により,肺の容積を拡張させ,吸息抑制的に作用すると考えられる。
6)坐禅時の酸素消費量
坐禅時のエネルギー代謝は,坐禅中の酸素摂取量と炭酸ガス排出量から坐禅代謝を知ることができる。参禅者の安静時酸素消費量は,平均して毎分 210mで,日本人年齢別安静代謝量より 20%ほど低い。坐禅中は毎分 160mの水準で,20%の低下を示す一方,対照群は,結 坐 25分にして酸素消費量8%増加を示した。
坐禅経験の浅い参加者に坐禅姿勢での条件呼吸を負荷し,呼吸の仕方と酸素消費量との関係を求めたところ,呼吸数を多くしても,少なくしても酸素消費量が増加した。坐禅の代謝効果は,この対照実験にみられるように,呼吸数の変化のみによるものではなく,「身・息・心」の一連の禅的行為を介して,はじめて得られるものと考えられる。
また,炭酸ガス排出量および呼吸商も同様の傾向を示した。
7)坐禅時の呼吸商の変化
摂取された酸素量と炭酸ガス排出量との比である呼吸商(RQ)は,坐禅調息の努力呼吸による変化と,接心生活における食餌構成の二面から考察される。
坐禅前安静状態の RQは,初心者,veteranともに 0.95~0.97で類似しているが,坐禅初期の調息期において,初心者は炭酸ガス排出量の増加により RQが増大し,数分間 1.0を超過する。一 を通し,veteranは安定しているが,初心者は坐禅中一旦やや低下し,その後,徐々に増加し,終了前,再び 1.0を上回っている。RQの変化は初心者のみにみられ,酸素消費量の変化と対応平衡し,炭酸ガス排出量は,より顕著な変化を示していることから,坐禅および,それに伴う調息は,初心者にとって大きな負担となっている。脳作業の RQは1であり,安静時の神経系負担のみによる RQは 0.8である。初心者に RQの動きが著しいことは,呼吸ガス代謝に及ぼす,調息の効果大なることの現れといえる。
8)坐禅代謝
参禅者は,安静代謝量において一般者より低く,基礎代謝も低い。体格にもよるが,対体表面積当たりにしても,相対的に少ない代謝値を示し,接心生活における食餌内容や生活内容に影響されるところが大きい。
安静代謝や基礎代謝に対して,坐禅時の酸素消費量は,さらに水準が低下する。坐禅代謝量は,基礎代謝(毎分約 200m)の 80~85%を示す。呼吸数の少ない2例および女性参禅者においては,基礎代謝にほぼ等しい。坐禅前の安静代謝値に対する割合では,安静代謝量,平均約 210mの75~80%に相当し,坐禅代謝の低下が著しい。初心者や対照実験における坐禅時の代謝量は,基礎代謝の 15%増,ほぼ安静代謝量に相当し,坐禅代謝の顕著な低下は,veteranのみにみられる効果である。基礎代謝よりも 20%も少ない坐禅時の代謝量は,ほぼ睡眠時代謝に匹敵し,坐禅の生理的
特性として挙げることができよう。
坐禅時の呼吸様式における参禅者の個々の動態には,それぞれの測定種目間に一連の関連がある。
特に経験の多い veteranにおいては,酸素水準の安定,坐禅代謝量が少ないこと等,坐禅行為の訓練によって,坐禅中の脳活動により集中的なものにするとともに,坐禅姿勢の合理化もあって,身・心ともに活動形式が整然たる“集中”となり,規則性のある安定した成績を示している。このような,調息を伴った坐禅代謝の著しい低下は,対照実験や結 坐姿勢のみでは低下しないことから,坐禅の調身・調息・調心の一連の行為に基づく効果と見なされている。また,この要
因として「脳の代謝」が重視されている。
結局,坐禅時の呼吸調整(調息)は,脳の活動水準を低下させ,坐禅時の代謝の低下の表れと考えられている。
2. 坐禅時の酸塩基平衡
坐禅時の呼吸およびガス代謝に関する測定結果から,調息が伴われる坐禅は,呼吸数,分時換気量の低下,一回換気量の増加,酸素消費量の低下など,代謝の著しい低下が,その生理学的特質であり,肺胞低換気状態であることが考えられる。杉・阿久津(1964)の場合は,血液ガス分析による酸素分圧 PaO욽,二酸化炭素分圧 PaCO욽の測定を欠き,確たる推測は不可能であるが,坐禅および調息条件で行なった著者らの実験成績においては,PaO욽の低下とともに PaCO욽が上昇した低換気状態(Hypoventilation)が認められた。
一般的な診断基準として,肺胞換気量が低下する Hypoventilaiton(低換気)では,CO욽分圧の上昇(PaCO욽≧45mmHg)により,肺胞換気が低下,pH も低下して酸性化する。一方,肺胞換気量が増加する Hyperventilation(過換気)においては,CO욽分圧の低下により(PaCO욽≦35mmHg),肺胞換気が増大,pH は上昇してアルカリ化となる。調息,坐禅時における PaO욽の低下,PaCO욽の上昇などの肺胞低換気は,いわば「呼吸不全」状態に近いといえよう。
さまざまな「呼吸不全」状態において,PaO욽は低下するが,PaCO욽は正常,すなわち O욽の取り込みだけが障害される場合を「Ⅰ型低酸素性呼吸不全」,O욽の取り込みに加えて,CO욽の排出も障害される(PaCO욽の上昇)のが「Ⅱ型低換気性呼吸不全」と呼ばれる。ガス交換に関与する因子として,PaO욽の場合は①環境(大気圧と酸素濃度),②肺胞換気量(一回換気量,呼吸数,死腔量),③肺胞レベルのガス交換(換気╱血流比,拡散能力,シャント)等が挙
げられるが,PaCO욽の場合は直接肺胞換気量のみの関与であり,他の要因に左右されない。したがっ て PaCO욽の増減(高低)は,肺胞換気量そのものを反映する指標といえる。
PaO욽の低下,正常な AaDO(욽肺胞気動脈血酸素分圧)と高 PaCO욽で特徴づけられる坐禅時の調息は,炭酸ガス CO욽が,肺胞から体外へ呼出されない「高炭酸ガス血症」を伴う低換気性Ⅱ型呼吸不全タイプに対応する。それは,肺胞換気が少なすぎて(hypoventilation),炭酸ガス産出に釣り合わない(分時換気量低下,死腔換気量の増加)“換気障害”の状態といえる。然るに,「呼吸不全」疾患としての一般的な診断基準は,動脈血酸素分圧(PaO욽)が 60torr以下,または動脈血二酸化炭素分圧(PaCO욽)が 45torr以上(Ⅱ型),以下は(Ⅰ型)であり,坐禅時の低換気は相当しない。すなわち病態ではない。坐禅は,調身・調息・調心の総合的,動的平衡によって実現する。坐禅の調息時は何故に低換気となるのか,この点については,三者相互の関連・平衡という観点による検討が必要となろう。
肺胞換気量の反映ともいえる PaCO욽の増減は,調息を伴う坐禅時の酸塩基平衡を左右する。
PaCO욽(二酸化炭素分圧)の増加または HCO욾욹(重炭酸イオン)の低下は pH(水素イオン濃度)が低下したアシデミア(酸性血)であり,アシドーシス(酸性)となる。また,PaCO욽の低下またはHCO욾욹の増加は,pH の増加したアルカレミア(アルカリ血)で,アルカローシス(アルカリ性)となる。
酸塩基平衡は,主に“呼吸数(換気量)”に起因する「呼吸性」変化と,主に“重炭酸イオン”や“水素イオン”に起因する「代謝性」変化に二分され,さらに「呼吸性アシドーシス」,「呼吸性アルカローシス」,「代謝性アシドーシス」,「代謝性アルカローシス」の4つの基本型に分類される。
なかんずく,PaO욽の低下,高 PaCO욽など,低換気状態になる調息坐禅は,「呼吸性アシドーシス」型に相応すると考えられる。呼吸数(換気量)の減少による,血中の酸素量(O욽)が減少し,二酸化炭素(CO욽)の増加に伴う炭酸(H욽CO욾)の増加,炭酸の増加に伴う水素イオン(H울)の増加によって pH が酸性化になるというのがその発生機序であるが,
二酸化炭素 CO욽(増)→炭酸 H욽CO욾(増)→水素イオン H울(増)→酸性 pH検査値上,呼吸性アシドーシスでは,一時性のPaCO욽の増加により,pH が下がり,代謝性にHCO욾욹が増加し,正常 pH へ戻ろうとする。そのため,呼吸性アシドーシスは,pH ↓ PaCO욽↑ HCO웍욹↑ となる。
この「低換気調息坐禅」時の酸塩基平衡に関する実証的研究は数少ない。坂本(1958)は,1時間の坐禅前後の血液 pH の差を測定した。その結果,対照群では,ほとんど血液 pH が変わらないのに対し,坐禅を行なった3名中2名の禅家は,pH が低下した。この pH の低下は,坐禅による呼吸中枢の統御によって,もたらされたものと考えられている。
3. 坐禅時の呼吸と脳波の周波数
Hirai,T.(1960)は,坐禅時の呼吸数が,脳波の徐波化を伴って低下することを指摘した。他にも,瞑想時の脳波に及ぼす呼吸の効果を報告する 例は少なくない。呼吸量の低下と脳波の徐波化(α波優位出現)は,ヨーガや坐禅を含む諸種の瞑想時における特色の一つと言えよう。
Gibbs,F.A.,O.Williams,& E.L.Gibb(s 1940)等,古くから,呼吸量の増減によって,脳波が特徴的に変動することが報告されている。熊谷・酒井(1963)は,呼吸と脳波との関わりについて,ネコに餌を取り付けた人工呼吸器の調整により,
実験を行なった。その結果,呼吸量の増減による脳 波 の 変 動 に つ い て,新 皮 質 の 脳 波 は,hypoventilation(低換気)の場合,CO욽分圧の上昇により,周波数は高頻度に移行し,低振幅速波の“arousal”で,肺胞換気が低下,pH も低下して酸性化する。一方,hyperventilation(過換気)の場合,CO욽分圧の低下により,周波数が低頻度に移行し,高振幅徐波の“drowsy”で,肺胞換気が増大,pH は上昇してアルカリ化となることを報告 し て い る。表 2 はhypoventilationと hyperventilationそれぞれにおける一般的な生理学的変化を示している。hypoventilation:肺胞低換気
を特徴とする調息坐禅においては,就中,新皮質脳波の低振幅・速波⇒arousalというのが問題となる。
坐禅,ヨーガ等,瞑想時特有の生理的変化として,EEG の徐波化,代謝の低下などがよく知られている。坐禅とヨーガにおける瞑想の測定で,笠松(1957)及び Bagchi, B.K.,& Wenger,M.A.(1958)は,それぞれ EEG-α波の出現を確認したが,この EEG-α波が何を意味するのか見解が一致していない。笠松(1957)は,これを「東洋的非合理的思考,ないし沈潜においてもたらされた,
活動水準の低下した状態」を示すものとした。一方,Bagchi,B.K.,& Wenger,M.A.(1958)は,これを「自動的に深い弛緩」としながらも,「一種の覚醒した脳活動」を示すものとみなした。また,平井(1960)は「坐禅中は,大脳皮質の興奮水準の低下によって,脳幹の諸機能が一斉に解放された,即ち自律神経機能が優勢となった状態」と主張した。
瞑想時の EEG の徐波化の問題は,Wallace,R.K., Benson,H.,& Wilson,A. F.(1971)のいう“wakefulandhypo-metabolicstate”が,「高覚醒・低代謝」なのか「低覚醒・低代謝」なのかという問題に関係する。坐禅,ヨーガ等,身心の安定,平 衡 を 目 指 す 瞑 想 時 に 肺 胞 換 気 等,ypoventilationでありながら,新皮質 EEG においては,α波が増加,高振幅・徐波化して“drowsy”となることが,笠松(1959)や平井(1960)を始めに,これまで数多く報告されてきた。ところが,EEG-α波の増加,高振幅低周波の徐波化は,一般に脳波学的には,hyperventilationにて惹起され
るのであり,調息および調息に伴う坐禅,ヨーガ等の瞑想時においては,hypoventilation-arousal,hyperventilation-drowsyという図式が,直接には当てはまらない。したがって,従来の古典的,伝統的理論は,必ずしも普遍的妥当性を有さず,その発現機序には,種々の生理・心理的要因が関わっていると考えられる。また,調息および調息による瞑想と安静時とでは,EEG-α波の出現が,異なる様式でなされることが考えられる。
有田(2003)は,坐禅の丹田呼吸法を実施することにより,α波(8-13Hz)の中でも高周波のα2成分(10-13Hz)が有意に増加し,θ波は減少,β波には変動がないことを明らかにした。このような結果から,呼吸法で出現する早い α波(10-13Hz)は,日常の閉眼リラックス時の遅い α波(8-13Hz)と発生機序の点で異なることが主張された。すなわち,大脳皮質の活動を調節する覚醒システムとして,ひとつは,Magounらによって明らかにされた脳幹網様体賦活系が古くからよく知られている。外部から入力される種々の感覚刺激は,この経路(呼息優位に機能する背側経路)を介して,大脳皮質全体を賦活化し,覚醒状態を形成させ,脳波を速波化する。われわれが閉眼すると,すぐに視覚入力が遮断される。つまり,外部入力の遮断が脳波の徐波化,“遅い α波”を出現させることになる。
もう一つの賦活系は,Jonesらによって,近年,明らかにされたもので,前脳基底部を中継核とする呼息優位の腹側経路である。背側縫線核セロトニン神経が活性化され,前脳基底部でセロトニン分泌が増加して,そこから大脳皮質へ投射する神経活動が抑制され,皮質の覚醒状態が変化する。
すわなち,脳波が徐波化(10-13Hzの早い α2成分の増加)すると考えられている。
坐禅呼吸法(丹田呼吸)は,セロトニン神経を活性化させ,それが腹側神経路を修飾して,徐波,すなわち α2成分の増加をもたらすという有田の説は,坐禅中の脳波の変化の特徴として,α波の増加,α振幅の増大を挙げ,禅定の深まりにつれて,α波周波数が低下して徐波化(より遅い α波活動の出現)の傾向にあるとした。Kasamatsu,K.,& Hirai,T.(1969)の説に対するものである。

つまり,Kasamatsu,K.,& Hirai, T が,α波の周波数帯域(8-13Hz)全体を“α波”とし,さらに周波数が低くなる他の θ波,δ波へと徐波化すると捉えたのに対し,有田においては“α波”(8-13Hz)を遅い帯域(8-10Hz:α1)と速い
帯域(10-13Hz:α2)とに二分して捉え,呼吸法による坐禅時の“徐波化”は,日常の活動波 βおよび遅い α1から,低周波の速い α2の増加への“転換”を意味する。したがって,(8-13Hz)全体を「α波」とする観点からすれば,「低周波 α波」への相対的な速波化ということになる。
쓕低覚醒,低代謝」を唱える笠松(1957)も,禅は「自覚の宗教」であり,坐禅やヨーガの修行は,自律性の身体機能を自己の自由意志の支配下においたもので,自分で脳興奮の低下をおこす過程であると考えている。さらに,半眼で目から入る外部の光刺激,あるいは結 坐等,調身による姿勢の保持によって,筋や関節など,末梢から適当に興奮し,興奮の低下と上昇とが適当なバランスを保って,ある水準に脳活動が維持されていると述べ,全くの“drowsy”を説いているわけではない。「身心脱落」の禅定状態においては,身心ともに「活発発地」なることが,古来,禅門の随処に説かれてきたのであり,「覚醒 α波」の検討は,瞑想時の「高覚醒-低代謝」の問題に対する有効な取り組みになろう。

4. 坐禅時の皮質脳波と脳血流

ヒトの後頭領域で優位の αリズムが,暗算など精神活動により α-blocking を呈し,速波化が引き続き起こされる。また,精神活動に際し,脳血流量の増加を来す部位が存在するという報告等,脳波(特に周波数)と脳血流は,脳機能を反映する指標であり,両者の関係は何らかの関連があると考えられ,その相関について数多くの報告がある。他に,生体に加えられる刺激で,脳血流および脳波にも影響を及ぼす因子として炭酸ガス(CO욽)がある。動脈血炭酸ガス分圧(PaCO욽)は,脳波に種々の影響を及ぼす。一般に hypocapnia(低炭酸症)・hypocarbia(低炭酸血)は,高振幅徐波化を生じ,hypercapnia(高炭酸症)・hypercarbia(高炭酸血)は,低振幅速波化を来す。また,PaCO욽の変動による脳血流の変化も知られている。一般に,PaCO욽が1mmHg 上昇すると脳血流量が1ml/100g/min増加するといわれ,これらの変化は,PaCO욽が 20~80mmHg の範囲内では,直接的変化をもって増加する。PaCO욽の脳血流量への
影響をみると,hypocapnia(低炭酸症)・hypocarbia(低炭酸血)により脳血流量は減少し,hypercapnia(高炭酸症)・hypercarbia(高炭酸血)によって脳血流量は増加する。したがって,以上のPaCO욽の変化に対し,脳波の周波数と,脳血流量の両者は,高炭酸状態にてともに増加を示し,低炭酸状態にてともに減少する相互関連性(coupling)を有することになる。しかし,その反応性については両者間に差異がある。脳波においては,PaCO욽の多少の変化に対
して,周波数の著しい変化が生じない。ある閾値(20~30mmHg)を超える明確な低炭酸状態(hypocapnia・ocarbia)や CO욽ナルコーシスのような極端な高炭酸状態で高振幅徐波化を示し,明確な高炭酸状態(hypercapnia・ypercarbia)で低振幅速波化を示すようになる。一方,これに対し,脳血流量は PaCO욽の変動に敏感であり,過呼吸(hyperventilation)による脳血流量減少の報告が少なくない。過呼吸は,脳波高振幅徐波化を起こし,脳血流量の減少をきたす。その徐波化の機序について,Gotoh,F., Meyer, J. S., &Takagi,Y.(1965)は,ヒトによる検討で,過呼吸による徐波の出現は,PaCO욽の減少による脳血管の収縮と,それに基づく脳の低酸素状態によると報告している。
脳血流の自己調節機能(autoregulation)が働く平均動脈血 60mmHg~160mmHg の範囲内では,血圧の変動に対して脳血流の変化はない。60mmHg 以下低血圧では,脳血流が減少,160mmHg を越える高血圧では脳血流が増大する。ま
た,自己調節機能の範囲内での血圧の変動は脳波に影響することはない。一般に,脳波の徐波化に先駆けて,脳血流の減少をきたすことが知られている。
他に,脳波と脳血流との関連性については,昏睡時に脳波の徐波化とともに著しく脳酸素消費量が低下するという報告(Lassen, 1959)もあるが,結果は正常成人において一般化せず,測定の困難さもあって,脳代謝と脳波や脳血流との関連性を見た報告は比較的に少ない。
正常成人の活動時においては,脳波の周波数や脳血流量はともに増加し,脳代謝の亢進を示す。また,意識障害等においては,両者ともに減少し,脳代者の低下を反映する。このように,脳波と脳血流は,その関連性(coupling)が示される一方,生理的,病的状態において,両者間に関連がない状態(uncoupling)も数多く報告されている。
脳波と脳血流量の極端な coupling は,てんかん発作において認められる。発作時,脳波は棘波が出現,脳血流は著しく増加,脳酸素消費量も増加する。しかし,発作後の昏迷状態では,脳波は徐波化,脳酸素消費量は正常時の1/2に減少するも,脳血流量は正常範囲内である(Brodersen,P.,Paulson, O. B., Bolwig, T. G., Rogon, Z. E.,Rafaelson, O. J., & Lassen, N. A., 1973)。したがって,発作後の脳波の周波数と脳血流量間は,uncoupling となる。他に,知能低下の老人(Obrist,W.D.,Sokoloff,L.,Lassen,N.A.,Lane,M.H.,Butler, R. N., & Feinbrg, 1963),認知症患者(Simard,D.,Olesen,J.,Paulson,O.B.,Lassen,N.A.,& Skinφj,E.,1971),昏睡患者等,病的状態においては,一般的に,脳波は徐波化し,脳血流量の減少をみる。

脳波と脳血流の uncoupling

生理的睡眠,特にその徐波睡眠において,脳波の周波数は減少,徐波化するが,脳血流量は軽く上昇して uncoupling を示すのに対し,REM 睡眠時の脳波は速波化し,脳血流が増加して couplingを示す。小児においては,脳血流量,脳酸素消費量ともに高値を示すが,脳波は徐波が優勢となり,uncoupling となる。その他,てんかん大発作,急性脳障害,灌流症候群,脳梗塞,重症の頭部外傷,薬物投与等,種々の病的状態においても,脳波と脳血流量の uncoupling が認められる。
脳血流障害時に徐波が認められることは,多くの報告により知られているが,脳血流量急性低下時の脳波変化を定量的に測定し,血流量低下との関係においてみた報告は数少ない。光信(1968)は,ネコ 11匹に灌流法を用いて,脳血流を急速に低下,あるいは回復させる実験を行ない,脳血流量の定量的な測定と同時に脳波の変化を観察し,次のような結果を得た。
1) 脳血流量を急速に,高度に低下(低下率20~24%程度)させると,速波の軽い低振幅化が起こるが,脳波的に一見著名な変化はみられない。
2) 低下率 21~35%程度の低下で,高振幅徐波化が出現
3) 37%以上の低下率で,脳波は平坦化した。
そして,脳血流量を回復させる時には,まず高振幅徐波が出現,ついで速波の増加,徐波が減少し,脳血流量が低下して,元の脳波に近づく,という逆の変化となった。
さらに光信は,血流障害時の脳代謝について,ネコ脳灌流法を用いて検討した。実験の結果,
1) 脳の酸素消費量は,脳血流量の低下率が20%以内ではほぼ一定値(元の値)を保ち,低下率が 40%以上では低下し,20~30%の低下の際には,消費量が不変のものと,低下するものの両者があり,脳が高い恒常性を維持していることが分かった。
2) 脳の炭酸ガス生成量についても,同様に40%以上の脳血流量低下に際して,減少がみられた。
脳の機能を反映する指標として,脳波や脳血流は極めて密接な相関を有することが,厳密な条件の設定が可能な実験動物において明らかにされているが,“ヒト”においては,条件の設定や,同時記録の困難から,必ずしも一定の結論は得られていない。
田川・鈴木・沓沢(1978)は,脳血管障害者(22~72歳,平均 54歳)17例で,延べ 21回,脳血流測定と同時に脳波を記録し,脳血流量と脳波の周波数について検討した。その結果,平均大脳半球血流量と徐波(7 cycle以下)の出現率並びに α波の出現率に有意の相関を認めた。それは,一般的に脳波の周波数と平均大脳半球血流量は,ともに減少(Sulg, I. A., & Ingvar, D. H., 1968;脳梗塞例)する。すなわち,脳波の徐波化が脳血流の減少と相関する(Simard et al.,1971;認知症患者)という報告と同様の結果となった。脳波と皮質血流量の相関については,さらに生理的,非生理的条件下でネコ 30匹を使用し,脳波の変化と皮質血流量変化との関係をみた渡辺(1981)の研究報告がある。結果として,生理的条件下では,皮質血流量と脳波の「面積」を数値化した EEG powerとの間に高い相関を有する(coupling)ことが明らかになった。すなわちそれは,皮質血流量の増減はEEG powerの増減に対応する。というもので,従来の脳波-脳血流説の再確認といえよう。

EEG powerの増加(高振幅・低周波・徐波化)に伴い,皮質血流量は減少し,EEG powerが低下(低振幅・高周波・速波化)の場合は,皮質血流量の増大を示す。すなわち,皮質血流量の増減はEEG powerの増減に対応するというものであるが,EEG powerの増大は,脳波の平均周波数のみによるものではなく,むしろ高振幅化に加え,律動速波の数の増加に由来するところが大なることを指摘している生理的状態では,脳の活動状態を示す脳波と脳の代謝の関わる脳血流において,脳波に反映する皮質の活動亢進は,代謝性皮質血流の増加,皮質活動の抑制には皮質血流量の一層の減少に応じ,代謝と血流という関係で,生命維持の目的に合った,極めて合理的な対応をしている。
このように,脳の活動状態を示す脳波と脳代謝の影響をうける脳血流は,ともに中枢機能を反映する指標であり,両者の関連性(coupling)については,実験動物を用いた多くの報告で相関が示されている。しかし,ヒトにおいては厳密な条件の設定が困難であり,一定の結論は得られていない。
呼吸の自己調整(調息)を伴う坐禅時は低換気であり,脳波が速波化し,脳血流は増加する。これは皮質活動亢進に連関するが,坐禅時の脳波-脳血流の coupling に関する報告はほとんどない。
近年,脳波に代わる新たな脳機能の解析手法として,非侵襲的な脳機能マッピング法が用いられるようになり,近赤外線分光法(near infra-redspectroscopy:NIRS)が開発された。これは,神経活動に伴って起こる局所の脳血流の変動を,皮質中のヘモグロビン濃度の継時的変化から捉えようとするものであり,ヘモグロビン濃度の増減は,そのまま血流量の増減を意味している。
最近,この NIRS により禅瞑想実行時の呼吸活動と脳血流との関りを捉えようとする研究もいくつかあるが,そのほとんどが明確な結果を得ていない。したがって,現実的においては「脳波-脳血流 coupling」の視点から,瞑想時の「高覚醒-低代謝」説,ならびに笠松の「低覚醒-低代謝」説の検討・考察に足る有力な手法になっていない。
5. 坐禅時の呼吸統御(調息)と脳活動
坐禅の根本要素は調身・調息・調心である。この3つは「三即一,一即三」の密接な関係にあり,調身・調息・調心のそれぞれの実現には,他の2つを必要不可欠とする。本来,呼吸の働きが仲立ちとなり身と心とが,一つに調和するのが“坐禅” である。「ヨーガ・スートラ:Yoga-su-tra」では,調息すなわち呼吸の調整が,瞑想への沈潜に先立つ準備段階として四種類の「呼吸停止」が説かれている
釈迦は六年間の苦行の後,口及び鼻からの入息・出息を阻止するヨーガの調息(断息・無息禅)を否定した。そして,禅定に入るには自らの入息と出息に心を止め,注意を集中するという「安般念(썚an썚ap썚ana-sati)」を説くようになった。安般念の修習法として,『増一阿含経』巻七安般品には,「 意こころを鼻頭につなぎ,出息長ければ息長く
と知り,入息長ければ亦息長くと知り,出息短ければ亦息短くと知り,入息短ければ亦息短くと知り…」とある。また第二広演品にもあるように,安般念の内容は,息は「長い出息・長い入息」「短い出息・短い入息」の二事である。この基本型は,その後四事に拡大され,さらに仏道修行の根本である「四念処」と結びつき,十六事に発展した。
元来,安般念の目的は,禅定に入って身心を鎮静せしめる点にあった。後にそれが複雑に組織・体系化され,却って人々の心を混乱させた。したがって,後世の禅門では,調息,数息に関する煩雑なる規定も少なくなった。
多くの坐禅儀の根本になったといわれる『天台小止観』で智 は,1)風ふう,2)喘ぜん,3)気き,4)息
そくの四つの呼吸の仕方をあげ,最後の「息」―息の出入がなめらかで,有るが如く,無きが如く,安らかな相―が正しい呼吸であるという。そしてその調息法について,1)心を下(丹田 たんでん)に着ける,2)身心の力を抜き,ゆるやかにする,3)全身の毛穴から息を出入させ,それを障害するものがないと観想することをあげている。また『小
止観』治病患第九では,1)吹すい,2)呼こ,3)き,4)呵か,5)嘘こ,6)きという6種の気(息)をあげ,さらに 12種の呼吸法を示し,“観”をもって病を治す方法を説いている。最後に智 は「渋ならず,滑ならざる,これ息の調える相なり」と結び,調息は自然であることが大事であると述べている。
曹洞宗の開祖,道元(1200-1253)は『普勧坐禅儀』を著し,坐禅の用心・作法を説いているが,調息そのものについては『弁道法』に「鼻息は通ずるに任せ,喘がず,声せず,長ならず,短ならず,緩ならず,急ならず」とある。また『永平広録』巻五においては,調息に対する見解を次のように述べている。「永平…ただ他に向ひて道はん。
大乗にあらざれど,小乗と異なる,小乗あらざれど,大乗と異なると,…出づる息も入る息も,長にあらず短にあらず。」ここでは,もはや大小乗の調息法,息の長短の差異などが問題なのではない。
それらを超えた“身心自然の脱落”の見解が述べられている。すなわち,調息とは,息を自然にまかせ身心を自然の状態におき,“息そのもの”になりきる(非思量)ことである。
それでは,力みもなく,邪心もない只管の坐禅時の呼吸生理学的効果は如何なるものであるのか。杉・阿久津(1964)は先述の報告の冒頭で,次のように述べている。「坐禅には「調息」と呼ばれる特殊な呼吸様式があって,坐禅効果を左右する大きな要因と考えられているが,こうした坐禅の仕方は,曹洞・臨済および黄檗など,わが国の禅宗諸派によってその特徴にかなりの相違がみられる」…「ひたすら一切の余念余行もなく,邪心を捨てて坐るという「只管打坐」法は曹洞禅の修行行為であるが,この呼吸調整は,坐禅開始とともに毎分4~8回と呼
・吸
・数
・を
・意
・識
・的
・に
・減
・数
・しなが
ら,坐禅姿勢を調整し,やがて安定状態に入ると一回呼吸量は 700~1000mlと増加し,腹式呼吸を中心とした呼吸で 35分~45分に渡る一 を終始している。」このように杉・阿久津の報告は,意識的に呼吸数を減数した調息による坐禅の測定結果であり,呼吸数低下,換気量低下(一回換気量増加),酸素消費量の減少など低換気状態を表す前述の結果となった。したがって,hypoventilation低換気→ EEG 速波-脳血流量の増加,すなわち「高覚醒-低代謝」の図式となるにもかかわらず,一般の生理学的観点により,共同研究者の笠松・平井の EEGα波-徐波の増加という結果から,脳血流脳代謝の低下が推論され,笠松の「低覚醒-低代謝」説と相容れない問題となった。坐禅時の高覚醒については,皮質活性化説を説明せんとする立場もあるが,α波内 αのすなわち α2をもって裏付け・証拠とするには不十分な面がある。また「低換気-皮質活動の抑制-EEG 徐波化-低覚醒-脳血流の減少-脳代謝の低下という図式も,坐禅時の調身・調息・調心の動的平衡において成立するのであり,一般的生理学指標の水準をホメオスタシスの働きにより,正常範囲内に収めるセルフコントロールが調身・調息・調心である。したがって,生理学的条件下における動物実験,人工呼吸,薬物等非生理的条件下における実験現象を直接そのまま妥当とすることができない。また“瞑想”といっても千差万別であり,調身・調息・調心,とりわけ調息なしの“瞑想”はその効果を一様に語ることができない。同じ瞑想であっても実行・実施の方法により効果の結果が異なってくる。さらに,呼吸の何をもって調息とするかという,その属性が大きな問題となる。そのうち呼吸数と呼吸量は,効果に及ぶ最も根本的な因子と言えよう。以上,調息に関わる一般的な問題点を取り上げ
たが,さらに具体的現実的瞑想実験場面における問題がある。より本格的な実験効果を得るために設定した条件の下で,却って本来の自然な結果が反映されていることが考えられる。杉・阿久津の報告も然り,一週間の接心生活で坐禅を繰り返す禅僧のデータは,調息測定以前の代謝効果を表すことも考えられる。これは調息を行なう他の瞑想においても同じことがいえる。したがって,測定条件と項目に対応した同一の個人データの採用が必然となるが,杉・阿久津を含む多くの瞑想実験における報告が,この点で曖昧である。実験参加者の選択の他,実験器具の装着,“基礎代謝”の把
握,データ処理等,杉らの調息坐禅測定における現実的,具体的,技術的な問題は多々残るが,「調息」の意味するところより以上の検討,考察を要する問題がある。

調心と脳活動

坐禅は,調身・調息・調心の動的平衡により実現する。そのうち調身と調息は「守意」,調心は「捨意」に相応(秋重,1973)し,調身・調息の過程は,ヨーガも禅仏教も大きな相違はない。しかし,坐禅独特の調心の過程は前者と大いに異なる。杉・阿久津の報告において,坐禅効果を左右する大きな要因として意識的に呼吸数を減数する「調息」を取り上げ,坐禅開始からこの呼吸調整が 35~45分にわたる坐禅を維持すると説明しているが,厳密に言うならば,意
・識
・的
・な呼吸調整が
「無意識的」,「自動的」になるというべきであり,そこに「調息の神髄」がある。この「計らいなし」の呼吸は如何にして実現するのか,前述のとおり,調息は,他の調身・調心との調和によって実現する。坐禅における課題は「無課題の課題」状況であり,思考による解決を離れることである。これが調身の基本にして最高の特色である。
かくして,意識的に呼吸を減ずる調息は「計らいなし」の調心の問題となる。坐禅のあり方を説いた道元の『普勧坐禅儀』には,自我を無化する調心の過程が明確に表現されている。
Ⅰ まず,外的事象と自己をつなぐ一切の「所縁を放捨」する。Ⅱ 次いで,自己がいま従事している仕事ないし課題を投げ出して「万事を休息」して外部とのつながりを断つ。Ⅲ 第三に,自己内部において,世間的な「善悪を思わず」是非の判断を止める。
Ⅳ 第四に,一切の計らいを捨て,思考を通しも
・の
・をみる「心意識の運転」を止める。
Ⅴ 第五に,過去を思い,未来を想像し,現在を観察する「念想観の測量」を止めると,内的関係ないし課題との関係系が消失し,Ⅵ 最後に坐禅により悟りを得て,覚者(仏)になりたいという願いも捨て去ると,あとに残るものは何もない。
このように,一切の意識的な努力をすべて捨ててしまうことになれば,改めて調心として,やらなければならないことは何ひとつなくなる。逆説的に言えば「調心しない」というのが坐禅の調心である。すなわち,人間的な「計らい」ないし課題を一切合切捨て去り「何もしない」ということになりきることが,坐禅において重要であり「無課題の課題」である。結局,坐禅の調心の過程では,一切の外的関係系,内的関係系からの離脱が要求されることになる。
このように,一切の意識的な努力,計らい,課題が放捨され「無為」の状態になるとき,ここに「無我の実現」がある。調身・調息・調心のもと,身心脱落して,本来の自己たる「無我」が非思量底に実現する。「非思量」とは,思量,不思量の分別を超えた根源的状態であり,息を忘れ,自己を忘れ,万法そのもの一になる無・為・の意識である。
われわれは,坐禅時の呼吸,脳波と脳血流の相互関連性という観点から,禅定における身心の安定,平衡状態を探求してきた。ところが近年「人間の脳は,ダイナミックな非関連性の機能ネットワークに,本質的に組織化される」という研究が注目を浴びている。何かに集中して課題をこなしたり,認知的な精神活動など,大脳皮質の活動している領域には血流が余分に流れ,そうでない領域には血流は抑制されると考えるのが自然だが,実際には複雑な様相を呈しており,決まって脳活動が二分するネットワークがあるという。
神経科学では,安静時の脳は何の活動もしていないと考えられてきた。しかし,脳機能イメージング研究によって,休んでいる時でも,脳は「基底状態」の活動を続け,これから起こりうる出来事に備えて “スタンバイ”していることが明らかになった。「基底状態」の脳活動の中心となっているのは,Default ModeNetwork(DMN)と呼ばれる複数の脳領域で構成されるネットワークである。これは,意識的な活動をしているときに血流が低下する後部帯状回と前頭葉内側が,脳内の離れている部位にもかかわらず同期して働く現象である。ぼ・ん・や・り・しているときの脳の活動に最初に注目し,DMN の名付け親であるワシントン大学のマーカス・レイクル教授は,何もしていないときに脳が消費するエネルギーは膨大であると述べている。すなわち,特定の課題を行う際に,脳が必要とするエネルギーは,安静状態で使われるエネルギーの5%にも満たず,脳全体が消費するエネルギーの 60~80%は外的刺激とは関係ない内因性の活動に費やされていることが分かった。われわれの意識的な行動,すなわち外界からの刺激を処理し,適切な反応を行うための脳活動は,脳全体のほんの一部に過ぎない。脳活動の大半は意識されておらず,意識によらない脳活動のまとめ役としての「基底状態」の探究は,調身・調息・調心により現成する無我の「非思量底」を明らめる手掛かりとなるかもしれない。

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